root 3 そして、オートバイ業界へ!
私のアパートから歩いて5分位の阪奈道路の上り口に、その建物はあった。
道路沿いの崖っぷちに地上二階、地下二階の少し奇抜な建物だった。
RSタイチ
モトクロス・チャンピオン 吉村太一氏の店である。
私が事故る前は外環沿いにあるオートバイ販売店だった。
オートバイが好きで、モトクロスに興味のあった私は何年か前から旧店には遊びに行っていた。(学生でお金が無かったので物を買った記憶が無い)
旧店に通っていると、「大将」と呼ばれている吉村太一氏と話をするようになった。いつも、ニコニコ気さくな普通の人だった。それに対して、その頃に紹介してもらった名門モトクロスチーム「マウンテンライダース」の監督・元木鉄治氏は眼光鋭く、如何にも!っての感じの人だった。(実際はとても優しい方でした)このお二人にはこの後、約5年間大変お世話になる。
私が事故る前の夏頃に大将から「店を新しく建てるから、働きにこないか?」と打診されていた。4回生の私は卒業を控えて、卒業後就職せず今の大学の2部に編入して2級整備士の免許を取ろうと考えていた。
私は長男で実家は兼業農家、借家も何軒かあり比較的余裕もあったので何か商売をして暮せていけたらと考え、好きなオートバイが近道だと思い、まずは2級整備士の免許の取得を目指した。
大将のお誘いは「渡りに船」好都合だった。大学は夜間なので、昼間に仕事をさせてもらい、夜に学校に通う。勉強をしながら給料がもらえる。一石二鳥、さらに大好きなモトクロスができる環境が整う。一石三鳥。
そこで事故に遭う。「無事卒業して編入試験を受けて、2部に編入が決まったらご挨拶しに来ます」口約束だけで別れて約半年以上が過ぎていた。
歩いてもすぐに行ける距離だけれど、オートバイが乗れない私は大将に会いに行けなかった。やっと、普通にオートバイに乗れるようになって、どうなるか?分からないけれど、まずは不義理を謝りにいこうと大将に会いに行った。オートバイに乗って1分のRSタイチへ。
社長室に通された、大将が椅子に座ってた。「いつから、仕事くる!?」色々話したと思うが、そんな感じだった。そんな人だった。
「この人の為に最大限の事をしょう!」そう心に誓った。
そして、RSタイチの一員に迎えてもらった。
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