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安全快適登山 2019年山岳遭難者2937名、死亡・行方不明者299名

私がアドスポーツを始めた1990年頃の死亡・行方不明者は200名前後であったのが約30年経って300名まで増えています。登山者が急増したように思えないし、携帯電話の普及や携帯電話の通話範囲が広がって救助要請が比較的簡単にできるようになったのに死者・行方不明者が増えている。

年間300名の死者がでるスポーツはあるでしょうか?

リスクの高そうなスポーツ、例えばモータースポーツ。オートバイのレースでの死者は数えられる程で、もっと広く考えても2019年の二輪車乗車中の交通事故発生件数約6万件の中で死者数は510名と発表されています。

単純計算ですが、登山では遭難者数の10%が亡くなり、二輪車の交通事故では1%に満たない数字になります。さらに、救助要請から救助される時間が街中と山岳では明らかに違います。街中では助かる命も山岳では亡くなってしまいます。(事故だけでなく、病気も含まれます)いかに、登山というスポーツがリスクが高いかがお分かり頂けると思います。

なぜ、山岳事故は起こるのでしょうか? 

簡単に言えば「能力不足」です。その「能力」を判断するのが「自分」だからです。山歩きに免許は要りません。登山届を出せば誰でも登れ、誰も文句を言いません。(出さなくても登れます)「山は自己責任」なんて簡単な言葉で片付いてしまいます。事故が起こってしまったら、自分で責任は取れないんですよね!まして、死んでしまったら家族や友人、周りの人たちが事後処理をして、本人は全く何も知らなく、自己責任を取れないまま終わってしまいます。

山歩きを始めて、続けて行くためには「正しい自己判断能力」を持つことが大切です。「正しい自己判断能力」は自分の身体能力判断、知識と情報分析力、経験の積み重ねで養われてきます。

低山を天気の良い日に3~4kgの荷物を背負って3~4時間の山歩きで満足できるのであれば、リスクが低いので特別な装備や技術、身体的能力は無くても事故の確率も低いです。ところが標高が高くなったり、気象条件が悪くなったり、荷物の重さが増えたり、歩行時間が長くなればリスクが高くなっていきます。当然、事故の確率も高くなっていきます。

高くなったリスクは身体的能力や登山技術能力をアップし、適正な装備を正しく使う事で余力が生まれ、回避することができます。余力の持ち方で安全マージンが増えます。余力の無い山歩きは「正しい自己判断能力」が無いという事で必ず事故に繋がります。

「正しい自己判断能力」をして、余力を持った山歩きをしても突発的な事で事故に遭ってしまうことがあります。「自然の中で人間は無力だ!」という認識を常に心に留めていただいて、山歩きを楽しんでいただけたらと願います。




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