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安全快適登山 職人のこだわり「エキスパートオブジャパン」

「エキスパートオブジャパン」(以下EXP)は埼玉県川口市にあり、全ての商品を自社工場で生産しています。

アドスポーツがアウトドア用品店として認めていただけるようになった1995年頃に問屋の営業から薦められてEXPのアイゼンやスノーシューズ(アルミ製のワカン)の販売を始めました。

アイゼンは強靭なクロムモリブデン鋼を素材に使い、軽量で固定方法もEXP独自の卍式を採用して、ほとんどの登山靴に確実に固定できたのでスノーハイキング入門用に6本爪のアイゼンはコンスタントに売れました。

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当時はまだ「ワカンジキ・立山ワカン」が多く使われていましたが、強度が高く軽量で固定方法もアイゼンと同じく卍式でしっかりと固定でき、メンテナンス不要なスノーシューズは雪山装備のスタンダードとして取って代わって買っていただくようになりました。

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2000年頃だったと思いますが、EXPの社長(石井貞男氏)が営業に来られるようになります。一方的に喋って、時間がきたらあっという間に帰って行く営業スタイルでした。それから、年に一度は営業に来られるようになりましたが営業スタイルは全く同じでした。

面白い人やなと思っていたら、何年後かに気が付きました。営業に出たついでに山に登っているのだ!と。いや、全国の山に登る為に営業に出ている。

この社長のアイデアや物づくりのこだわりは、自分の好きな山登りから生まれ、手間暇かけて商品にしているのが良く分かります。たまたま、マシンガン営業トークの合間に私が「こんな商品は作れますか?」と提案したものを一年くらい後に商品にしてくれ、現在も販売されています。

約25年間で相当数のアイゼンやスノーシューズ、その他のEXP商品を販売してきました。道具ですから使えば経年劣化や破損などしますが明らかに使えなくなった商品は数点で、ほとんどの商品は何年経っても、少しの手直しや修理で充分に使え、耐用年数の高さは抜群です。

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EXPは他にも楕円形のシャフトのステッキや伸縮するピッケル、テントの張り綱を調節する自在(スーパーランナー)など石井氏が考案したものを数多く生産しています。

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ただ、EXPの商品は店頭に並んでいるだけでは売れない!ひとつひとつ商品の説明をして理解してもらい、使い方やアフター等のプラスアルファーをプレゼンテーションしなければ買っていただけないし、商品を有効に使ってもらえないのが残念です。

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本来、メーカーや作り手の思いやこだわりをお客様に伝えるのが販売店の役目だと思いますが、現在のアウトドア用品小売業の販売体制ではそれだけの手間暇をかけることができる時間と確実なプレゼンテーションができるスタッフが残念ながら少なくなってしまったのでEXPの商品を販売している店舗が少ないように思います。

さらに数年前に石井氏が亡くなられ、現在は奥様が社長として奮闘されているようですが、石井氏の商品開発への発想力と情熱は残された社員に引き継がれていないように見受けられる。

このままでは、買い直しの必要のない優れた道具たちもEXPもフェードアウトしていき、アフターメンテナンスもしてもらえなくなるのでは?と勝手に心配しています。

垂れ流しの情報の流行を追いかけるだけでなく、探究心を大切に作り手たちのこだわりや優れた道具たちへの出会いを求めていけば、きっと良い相棒が見つかりますよ!

エキスパートオブジャパン「クロモリ 12P 卍set」







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