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「執念第一」#毎週ショートショートnote

 僕が生まれた日の事を、僕はよく覚えている。あなたの強い想いから、僕は生まれた。

 あなたは毎晩その小さな身体で、目に一杯の涙を溜めながら、やり場のない感情を僕だけに打ち明けてくれた。その小刻みに震えた腕の中で、電池の切れた様な深い眠りの、その強い抱擁の中で、僕は目覚めた。

 僕だけが本当のあなたを知っている。あなたはとても責任感が強くて、頑張り屋で、そして繊細だ。

 僕の小さく、綿の詰まった身体では、あなたを護ることは出来ないかもしれない。でも、あなたが求めてくれた様に、僕のこのふかふかの身体で、あなたの想いを受け止め続けよう。

 僕は付喪神。あなたの想いに応える使命がある。そのために、神様から特別に力を貰った。僕が、あなたに安らぎを与えよう。

 あなたが嫌いな人はもうすぐ居なくなる。あなたがいつも僕にするやり方で、僕を介して投げかける「死」を、彼らに与えよう。
 「執念第一」それが、僕が僕であるために必要な決まり事なのだ。

 あなたの強い想いから、僕は生まれた。

「執念第一」(完)



参加させていただきました。
素敵なお題をありがとうございます。
かしお

#毎週ショートショートnote


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