観音様の見守る街
神奈川県の鎌倉市
そう聞くと、古都や観光の街のイメージを抱くと思う。
そんな鎌倉の玄関口となる駅が「大船駅」
駅全体が鎌倉市に属しているわけではなく、一部が「横浜市」に突っ込んだいくつもの路線が乗り入れるターミナル駅だ。
ターミナル駅という性質上、そこに住んでいる人でなければ多くは乗り換えのために下車することとなり、なかなか駅の外を歩く機会が少ない。
そう言う私も、子供の頃に神奈川県に住んでいた頃はなんども「湘南モノレール」に乗るために「大船駅」を訪れているが、駅の外に出たことはなかった。
駅を降りると目の前に観音様
「大船駅」降り立つと目に入るのは大船観音寺の観音様
駅の西側は川を挟んで低い山並みになっている。
その上に大きな観音様が街を見下ろしている。
出張でしばらく駅前に滞在していたものの、なかなか行く機会がなかったので天気の良い日に散歩がてら歩いて行ってみた。
川を渡ると入り口が見えてくる。
やはり山の上にあるお寺なので、急な坂道を登ることになる。
参道を登っていくと眼下にバスターミナルが見えるようになる。
ここで驚いたことに、後ろからバイクの音が迫ってくるのである。
振り向くと結構な勢いで新聞配達のバイクが登ってきていた。
この狭い参道をバイクが来るとは思っていなかったことと、そのバイクはなかなかのスピードで抜き去って行った2つの衝撃でしばし立ち尽くす・・・
いや、ちょっと徒歩で登って参拝しようとしている人の横を、猛スピードですり抜けていくのはいかがなものか・・・
さて、気を取り直して山門に到着した。
大船観音寺の入り口
わきに詰所を備えた山門は昭和60年に寄進されたものだそう。
写真で見えている、山門の真ん中に置かれたお賽銭箱のようなものに参拝料を入れて中に入る。
参拝料は300円だった。
あまり下調べもせずに、観音様を見にきたためこの時はわからなかったのだが、どうやら山門の奥に見える建物がこのお寺の御本堂のようだ。
御朱印も1階の寺務所でいただくことができる。
山門をくぐって振り返ると、砂利を敷いた広場がある。
足腰の弱い人はこの東家でジュースを飲んでホッと一息と言ったところだろうか。
階段上からの視線
広場の左側に観音様へと続く階段がある。
登ろうと近寄っていくと、なにやら視線を感じる・・・
駅から見た時はただ漠然と"大きい"という認識だったが、階段前でこう見るとなかなかに迫力を感じる。
この階段下からの観音様はよく観光案内やSNSに投稿されている構図だ。
階段に隠れて全体像が見えないので、想像力によって余計に大きく見えるのかもしれない。
当初は立像の計画があった「白衣観音像」
さて、階段を無事に登り切ると正式な名を「白衣観音像」と遂にご対面。
当初の計画では巨大な立像で、完成すれば奈良は東大寺の大仏様の2倍の高さを誇るものとなる予定だった。
ところが地層の関係などから胸像へ変更されたのだと言う。
横から見た顔は、少し微笑んでいるようにも見えるとか見えないとか。
角度を変えるとそういった発見をすることもできる。
途中、世界恐慌や戦争の影響を受けて資金不足となり、長らく建設が止まってしまった期間もあった白衣観音
今はやさしく大船の街を見守っている。
胎内も見学可能
観音様の後ろ側にまわると無機質な階段の先に入り口がある。
中に入ってみると、目を引くのは千体仏の部屋
自分で彫ることも出来るようで、傍にその案内があった。
その名の通り、千体以上も並ぶ小さな仏様は戦後50年の平和と供養を記念して始められたもので、よく見てみると、一つ一つ表情が違い、また恰好も様々だ。
じっくりと眺めているとなかなかの時間が過ぎていた。
さて、寺内にはこれらの他にもお地蔵様をはじめとする見どころがあるようだが、この日はこれで宿へと引き返した。
1月の終わりに訪れたのに、この日差しで春のような一日。
ターミナル駅近くのプチ登山は、夜勤続きの身体にちょうど良いリフレッシュとなるひとときとなった。