住宅ローン選択の豆知識
各金融機関は住宅ローン金利では儲からない時代へ
1月は日銀の金利政策修正などにより住宅ローンについて関心のある方が増えているようで、金利動向や商品選びなどの相談が多くなってきています。
そんな相談のなかでよく驚かれるのが、変動金利の実行レートの低さ。
実は、一部顧客条件など適用要件はあるものの、今では0.3%台で借り入れ可能となっているのです。
このような超低金利時代を生き残るために金融機関さんも大変な努力をしているという事実も目を向けなければならないと思います。
各金融機関は経営合理化のために…
支店の統廃合
窓口業務の縮小
オンライン化
子会社や部署の統廃合
人員削減
AIの活用 など
この数年で大きく様変わりしてきました。
今後、この流れはより加速していくことかと思います。
そして、この変化の流れの裏では住宅ローン商品合理化のための仕組みも変化しているのです。
そこで今回は住宅ローンの裏話的なお話として住宅ローンの実行金利の実態と保証料、融資手数料にフォーカスしてお話をしていきたいと思います。
住宅ローン変動金利は0.3%時代に突入!!
ここ最近、日銀の金利政策修正などが騒がれていますが…
実は、実行金利レートはまだまだ下がっているのが実情です。
当社で取り扱っている1月の住宅ローン変動金利格安ランキングを見てみましょう。
「いったい各金融機関はどうやって儲けるの?」と首をかしげる様な金利ですよね。
しかし現在、各金融機関にとっての利益の主軸は住宅ローンではなく、優良顧客を自分の商圏に取り組むためのツールとなっている状態なのです。
このような金利ディスカウントによる熾烈な顧客獲得合戦は消費者にとってはとても喜ばしいことですが、貸し手側の金融機関にとってはサバイバル合戦となっています。
保証料型から事務手数料型に変化してきている
では、各金融機関が金利ディスカウントによるサバイバル合戦を生き残るために、どのような戦略変更をしているのでしょうか。
それは…「保証料から融資手数料時代への変換」です。
この戦略変更で注目していきたいのは、保証料について。
住宅ローンを借りる場合、通常は保証料というものが必要となります。
今まで銀行から住宅ローン借り入れをする場合、一般的には銀行の子会社(関連会社)である保証会社の承認が必要であり、この保証会社の承認が得られなければ融資のOKがでませんでした。
さらに、承認を出した保証会社へ借入額に応じて定められた保証料額を事前に納めないと住宅ローンが借りられませんでした。
万が一借り手側(顧客側)が貸し倒れを起こした場合、貸し手方(銀行)へ直接不良債権が積みあがらないようにするための仕組みで、貸し手方(銀行)の保険のようなものです。
この制度は海外ではあまり無いようですが、90年代バブル崩壊後はこのような保証会社制度が一般化されていきました。
しかし、最近はこの流れが徐々に変わりつつあります。
これまで必要だった保証料というものが、いつの間にか融資手数料という名目として一部の銀行で置き換わってきているのです。
1月時点における主要金融機関の保証料と融資手数料の取り扱いについて一覧を見てみましょう。
融資手数料型と保証料型について、名目は違いますが実は負担金額はほぼ同一となっています。
融資手数料型の場合:借入100万円当たり約20620円の保証料支払い
保証料型の場合(期間35年):借入金額×2.2%の手数料支払い
また、十数年前はほぼ9割の金融機関が保証料型のみでしたが、現在は融資手数料型のみやどちらでも選択可能な金融機関が増えてきています。
保証料型のみ:4つ
融資手数料型のみ:9つ
どちらでも選択可能:5つ
これは大きな変化かと思います。
しかし、この変化は顧客にとって有利なのか不利なのか気になりますよね。
保証料型と融資手数料型の違いなども含めてこの後解説していきます。
保証料と融資手数料は何が違うのか?
結論からすると顧客側としては保証料型、金融機関側としては融資手数料型が有利です。
その理由は…
保証料型:繰上返済をする際に未経過部分の返戻が受けられる
融資手数料型:掛け捨てのため、返戻が無い
融資手数料型の場合、借入スタート時に一括払いをしてその後途中解約しても金融機関側には払い戻し義務がありません。
つまり、融資手数料型は途中解約をされても手数料分の利益+経過金利利益の確定はできているので、金融機関側にとって有利ということです。
このような仕組みを踏まえると、超低金利で利ザヤが少ない各金融機関は保証料型から融資手数料型にビジネスチェンジしていくと思います。
変化していく中で住宅ローン選択をする場合、注目すべきは金利だけではありません。
先程ご説明した保証料型や融資手数料型などの損得を考える必要もありますし、疾病特約や一括返済時の条件なども含めて総合的に検討し、自分に合った住宅ローンを選ぶ必要があるのです。
現在の日本の住宅ローン市場は、各金融機関が競争していることによって多くの選択肢があります。
しかし、それは逆に「どれを選べば良いのか?」「本当はどちらが得なのか?」などの答えが難解になっているということでもります。
こうした状況でもお客様にとって最適な住宅ローンアドバイスができるように住宅仲介業である当社は日々知識情報のアップデートが必要だと考えているので、今後も常にアンテナを張り続けていきます。
そして、今後も私なりの見解をもとに住宅ローンに関する裏話をこのNOTEでこっそりと解説していくのでぜひ参考にしてみてください。
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