疾走モノローグ
二本松駅から郡山駅まで東北本線で約25分
郡山駅から磐越東線に乗り換えて約2時間で
いわき駅に到着する
磐越東線は山間を縫いながら蛇行している
川が近い
渓谷
山を越えて
国を越えて
いわき駅のホームに降り立ったら黒い服スーツ姿のものものしいThe厳戒態勢でそういえば石破総理が1Fに視察に来るって言ってたな
まさか電車でやってくるのか
東京から直通でとなると
常磐線の方がスムースなのか
黒い人たちの間を縫って
外へ
外へ
あいむ
弾かれたピンボール
【ニューアートシーン・イン・いわき】
小森はるか+瀬尾夏美
いたるところで声が聞こえる
語られている
モノローグ
「11歳だったわたしは」
11歳だった頃の体験がその後の人生に大きな影響を及ぼす事があるのではないかの仮説のもと
総勢何名なのか分からないけれど
語りが収録されまた文字に起こされ
そこに在った
チューニングを合わせなければ
ただの音声でしかない
ただの文字列の羅列でしかない
右往左往ぐるぐる巡っていると
身体が馴染んでくる
声のトーンに
声のリズムに
思考は自己へと向かっていく
外から中へ
ならば
中から外へ
出てくる
出てきますか
11歳の頃
1994年
私は
何をしていただろうか
【牛腸茂雄写真展】
牛腸さんはすでに亡くなっているらしい
自分の生まれた年に
1983年以前に撮られた写真はどこか懐かしく
また新しさも感じる
ビビッドなカラーバリエーション
まだ写真を撮るという行為が
一般化されていない時代に
カメラをむけられ慣れていない被写体の表情は
どこか緊張感をも漂わせている
ハンディキャップとともに生きたという牛腸茂雄はどんな人だったんだろうか
視線は少し低めなのか
二十歳まで生きられないと宣告された人生
何を見て何を写して何を残したかったのか
今を生きている私よりも
若くしてこの世を去って
もしまだ存命であれば
どんな写真を撮っていたんだろう
多様性
風の時代とは言うけれど
風景から人へ
自己と他者
見る見られる
写真は人が介在すると関係性が生まれてくる
お互いに
風景とは違って
双方のコミュニケーションが可能になる
そこには目には映らない距離
猫じゃぁないんだ
声に出して
ワッツアップ
こんにちは
人を撮り慣れていないと
こわさもうまれる
旧知の仲であればまだしも
全くの赤の他人であればなおさら
それでもカメラがあれば
撮る撮られるの関係であれば
その瞬間はわかりあえるわかり合いたい
たとえその場限りの幻想なんだとしても
祈りのようでもある
祈るようにカメラを構える
そこには何が見えるんだろう
何が映し出されるんだろう
想いは残る眼差しを宿して
【劇作家永井愛ポスター展】
アリオスで演劇のポスター展をやっているらしい
ちょっと覗いていこう
観劇したいとふと思うこともあるくらいには
生活に馴染んできた演劇
福島市のブリコラージュは20人も入れば
満席の小劇場
演者の有名無名は関係なく
そこで繰り広げられるドラマは一期一会で
目が離せない
菅田将暉が映っているポスターの前で足を止める
菅田さんはどちらかといえばアンダーグラウンドな
立ち位置なんじゃなかろうか
名実ともに日本を代表するActorではあるんだけれど
活動初期の得体のしれなさを残しながら
メジャーなフィールドで
活動しているようにもみえる
菅田将暉
こっちのけんと
はいよろこんで
尖りがすんなり受け入れられる世界
ポスターもみなどこか尖っている
あらかじめ
いわき在住の友人とアポイントメントをとって
ランチでもしてから北へ向かおうか
とも悩んだけれど
実際にはそんな余裕もないくらいに
常磐線の時間が迫ってきていた
いわき駅から富岡駅へ向かう
片道682円
時間と距離は
郡山から猪苗代
ひさしぶりだ
富岡
駅を出てすぐに
点灯していない
イルミネーション
このキャラの名前はなんて言ったっけ
お昼ごはんを食べ損ねて
空腹だと自覚できるくらいにグーグー
どこかで食べていく時間はなさそう
LAWSONへ行こう
パンを食べよう
350円分のパンを買うと
ドリンク1本無料券を配布しているらしい
330円分のパンを2つ買って食べながら歩く
カレーパンをもしゃもしゃ食べる
前回の富岡来訪は
チンポムと小松理虔さんに
会いに行ったはいいものの
特に会話という会話もせずに終わったのだった
遠目で会釈して
近くまで行ってこんにちはって小声で挨拶して
記憶を辿る
前を向く
道を進む
LAWSONから学びの森はそう遠くはない
「ガザモノローグを声に出して読む会」
モノローグを読む声に出して自分の声の掠れ震え息継ぎ間の不自由さに戸惑う自在に操れるなんて根拠のない自信はどこからやってきていたのだろう声と言葉リズムとフロー意味は遅れてやってくる川を見て水をみる水面の空を思う語る語られる
#ガザモノローグ
@アシュタール劇場
理不尽な事が起こっている
それを見て見ぬふりをしていいのだろうか
だからといって何ができるんだろうか
なにもできない
思考停止
それもまた自衛の一つではあるが
感情は揺さぶられる
ゆさぶられるくらいのイマジネーション
想像する事
それ自体を祈りとして
届くだろうか
祈ることは無力だなんて
吐き捨てたくはない
誰も彼も
日常
何かに祈っている
声を上げることは途轍もない労力
だからといって
声を上げないことを無関心とは言い切れない
声にならない
言葉にならない
感情の渦は
ならば
ならば
主催のもんまさんとは7月に会っている
行動フェス
sarp
お気に入りのロンTに
シルクスクリーンを刷ってもらった
共同主催の秋元さんとははじめまして
富岡で演劇的な活動をしている事は知っていた
気になる存在
秋元さんもチンポムと小松理虔さんと一緒に
いたはずだ
あの場に
会っている
会っていない
繋ぎ
直した
関係性
常磐線の本数は多くはない
終了予定時刻きっかりに
私はそろそろ走り出しますと宣言して
夜の森駅へ
夕日が綺麗で
月も綺麗だ
原ノ町行きの電車がやってくる
10分前に駅へと辿り着く
夜の森
桜の咲く季節
まで後
一季
【ぷくぷく醸造】
半年ぶりの小高町へ
ぷくぷく醸造の角打ちへ
小高町でお酒を呑むって初めてのことなので
泊まりであれば問題はないけれど
日帰りでってなると
何時が終電になるんだろう
って検索してみると
原ノ町行き19時14分がどうやらラストらしい
常磐線を原ノ町から乗り換えて岩沼まで行き
そこからまた乗り換えて東北本線福島行き
福島からまた乗り換えて矢吹行き
これで二本松まで帰ってこれる
二本松23時
片道4時間を移動している
ぷくぷく醸造でお手伝いをしているノミヤさん
とは西会津ではじめましてをして以来
ノミヤさんのクリエイティブと創造物に惹かれて
西へ東へと追いかけていたりもします
今おつまみ全般作っていてって話で
メニューを見てみて
ちょっと小腹も空いていたし
ちょっと呑むわけだからお腹に溜めたいしって
おにぎりと豚汁
最初の1杯は木桶仕込みのどぶろくでいただきます
どぶろくって呑みやすいんだなぁ
あんまり馴染みがなかったけれど
甘くてごくごく呑んでしまう
2杯目はホップ仕込みのどぶろく
こちらはホップ由来の植物の香りがする
さっきのは木桶の香りが鼻に抜けて行ったけれど
飲み比べてみて違いを愉しむ
立川さんともひさしぶりに再会
いつ以来だろう
仁井田本家で見かけたのは覚えている
小一時間どぶろく2杯とおにぎり2個と豚汁で暖まる小高のまちなか各所でイルミネーションを
やっていてピカピカ光っている
見ていこうか
どうしようか
とはいえ乗り遅れるとその時点で
お泊りしなくては行けなくなるから
タイムキーパーの本領発揮
時間に追われながらも適切な距離を保って
ペースは崩さない
実際ちょっと早めの電車で小高町には着いていて
お店のオープンまでまだ1時間以上あるし
考えながらフルハウスまで
歩いてきて
カフェ営業終了後はご自由にスペースとして
開放しているのを思い出して
ぼんやりゆるゆるあたたまるあたためる身体
まち歩きをしている団体なのか
ネームプレートを首から下げた数人がやってきて
店内の見学をしていたり
道行く人の流れから
街のリズムを感じたり
意識的にテンポを落とすことで
みえてくる景色もまた味わい深い
小高まで走って乗ってまた走ってちょっと歩いて
ここまでやってきた
リズムに乗って
【銀河鉄道の夜みたいなみたいね】
頭を過る
銀河鉄道の夜
見慣れない土地
よるを
夜を
切り裂いて
聞き慣れない駅と駅
つかめない距離感
眠気からの
覚醒
意識はゆれるゆれるゆれる
乗客はいなくなる
はっと顔を上げる
車両に一人取り残されている
ひとりぼっちも
そんなに悪いものじゃあない
反芻する
反芻する
反芻するには多過ぎる
思い出にはまだ早すぎる