いっさいがっさい
18から19の頃に、仕事を得るための面接を10社以上うけて全て落ちた。
何の取り柄もない普通科卒の少年には何ができて何ができないのか、自身の得意不得意もわかっておらず、世の中全ての事に対してさして興味もなく、更に言うならば自分にも興味がなかった、高校を卒業したら就職か進学の2択の世界に生きていた、令和ならもう少し選択の余地はあるのだろうか、進学っていったって学びたい事もないし、テストの成績は下から数えた方が早い、勉強へのモチベーションは入学して以来全くもって湧いてこなかった、高校に行くこと自体苦渋の選択でもあった、興味もないし集団生活が向いていないし、普通は行くから高校くらいっていう流れに乗るしかなかった。
高校卒業前に2社うけて落ちた、後は自分でなんとかしてね、と担任は言う、なんとかっていったって、とりあえず職安に行くしかないかって、職安に行ったら職員の横柄な態度に拒絶反応を起こしてしまう、話したくないなって、しかしそうも言ってられないな、経験も自信もない中で、
これなら出来るのか、出来そうか、あとは家から通える距離であれば、で申し込んで面接に向かって
落ち続けた、ずっと落ち続けていると、もともとなかった自信は更に萎んで消失してしまう、何もできない、やりたいこともないんだけれど、やりたい事に出会う前にとりあえずどこかで働ければ、そのとりあえずさえもうまくいかない。
自分に正直であり続ける、それは言葉にしたくない事はしない、嘘っぽい、誇張が過ぎる、綺麗事、は自分の口からは言い出せない、とりあえず働きたいです、
自信はないです、続けられるかどうかもやってみない事にはわかりません、面接のセオリーは学んでいるし実際そのとおりにやっていたらいいんだろうけれど、それはできない、したくはない、よく知らない会社にたいして、理念に感銘をうけてだとか、もっともらしい事は言えなかった。
自分の言葉でしか話せなかった。
20になったばかりの頃アスペルガーの診断を受ける、今も昔もなにも変わっていない、そのはずなのにそれから自分を見る、家族親族一同の見る目が変わった事は肌で感じた、だからといって自分は自分にしかなれないし、それが免罪符にはならないんだという事、しばらくそれはスティグマでしかなかった。