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1月17日の香り~乾杯の時 くちなしに聞き、オレンジと語る~366の偶然、感性
1月17日 オレンジとガーデニア
ガーデニア~堕ちない天使~
「堕ちない天使」というのはadams fragrance familyの調合ベースでガーデニア(くちなし)が主香。
このタイトルは昨夏、なんとも怠惰な一日を過ごした日に調合した。
朝から本も読まず、メールに返信もせず、音楽も聴かず、だらだらと、ジャンクフードを食べてはごろごろした一日の終わりに、
ふと「ガーデニアを使おう」と思い立って即興的につくったのだった。
ことのほかこのベースを気に入った。
怠惰な一日の終わりに、気に入ったベースが期せずできた、堕天使にはならなかったかな、という思いから「堕ちない天使」というタイトルをつけた。
今思うと、ガーデニアが私を呼んでいたのかもしれない。
堕落しそうな一日の終わりに。
これを気に入ってくださったお客様は、「甘い香りが頑張った自分へのご褒美みたい」と言ってくださった。
この時にはガーデニアにフルーティさのあるローズをはじめとしたフローラル、わずかなペパーミントなどを配合した。
オレンジの抱擁
このガーデニアに今日はオレンジを合わせた。
オーガニックのオレンジ精油由来のものを使い、ガーデニアの濃度はオレンジの半分程度に落とし、配合はオレンジ7:ガーデニア3にした。
この関係がお互いにとって「調度よい」ものであったようだ。
ガーデニアはグリーン感の強いもの、スイートさが際立つものといくつかある中で、今日はスイートなタイプを選んだ。
スイートなガーデニアを抱擁するオレンジ。
ペールトーンの色彩世界
オレンジの抱擁が作り出す色彩はペールオレンジからペールイエロー。
常に光を通したような透け感のある感じだ。
その中でガーデニアのスイートさは時間経過とともに、徐々に出てくるけれど、それは”ご褒美的な甘さ”ではなく、ほんのり加わる甘さのニュアンスにとどまっている。
まるで、黄金色の泡が立ち上り、少しのハニー香気を持ったシャンパンのような味わい。
アコードの行方
ガーデニアの淑やかなラストノートをつくっているのは、オレンジ。
このアコードをベースに何かをつくりたいような、もうこのままにしておきたいような・・・。
ガーデニアとオレンジが何を望むか、香りの声に耳を傾ける。
「香りに聞き、香りと語る」。
調香という作業を私はそんな風に言い換える。
私がしたいのではなく、香りが何かを発してくる。
あの日の夕方にガーデニアに呼ばれたように。
耳を傾け、語り、そして悩む。とりあえず、乾杯。
香り、思い、呼吸
1月17日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。
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