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夕暮れの香水 1月17日~365日の香水

EAU DU SOIR/SISLEY/1990
Eauはフランス語で水を指すので「夕暮れの水」ということになるけれど、メッセージとしては夕暮れの香りの水、と受け止めたので”香水”とした。
香水にはたまに、ある時間帯をイメージして創作され、それをその名に冠するものも少なくない。
ブルジョアのソワルドパリ(パリの宵)、ウォルトのラニュイ(夜)、パコラバンヌからもラニュイ、ウビガンからデミジュール(昼の光)などなど。

昼が終わろうとし夜が始まろうとする時間
はっきりとしない曖昧な時間に対するしとやかなワクワク感が潜む時間帯。
朝起きて、どんな一日になるかも分からない状態から始まる。太陽の下で予定通りか予定外か、それぞれの時間が過ぎる。
そして日が落ちる頃、今日という日のパート2の始まり、昼間に何があったかわからないけれど、今日という第二幕が開く。昼より少し短い、それだけに何があっても劇的な時間。
何故なら完全に夜となるまでの数時間なのだ。
今振り返れば、この貴重な夕暮れを私は随分おざなりに過ごしてきた。
単純に日が落ちた、暗くなる、その流れでやり過ごしてきたけれど、味わおうと思えば、この昼と夜の溶け合う不思議な数時間の楽しみ方はいろいろあったように思う。
24時間の中には、その時間に相応しいドラマがあるということを
「SOIR」という言葉が思い出させてくれる。
一日は昼か夜かではなかったのだ。

再び、EAU DU SOIR/SISLEY/1990
シプレ―タイプの特徴があるけれど、現代的なシプレーで独特の燻ぶったような湿ったような土っぽさではなく、とても滑らかなシプレータイプ。
どの時間と言えば、夕暮れ時につけて、明るく活力のあるフルーティーなトップから滑らかで落ち着いたフローラルシプレ―への流れを楽しみたい。
香りは深夜まで持続するけれど、それは宵に描いた自分だけの美しい夢の余韻。

香り、思い、呼吸

1月17日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます

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