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ギリシアの神々のように 10月21日〜365日の香水
神の名を冠する
香水のネーミングには神話の神様の名が使われることが多い。
昨日の「イザティス(Ysatis/givenchy)」の他にもキャシャレルの「アナイスアナイス(anaisanais/chacherel)」、サンローランの「クーロス(KOUROS/YSL)」などが浮かぶ。
ペルシア、エジプト、ギリシアと古代社会の神の名がその神格とともに香りの美点をひき出す役割を果たすのに対して、キリスト教の聖人の名を冠した香水というのはメジャー市場ではあまりみかけない。
一神教と多神教のちがいだろうか。
現在も信仰されている宗教では、聖人にしても神にしても精神的な価値を追求する世界に、時に贅沢で個人的な用途である香水はなじまないのかもしれない。
ギリシアの神も、古事記の神も多神教の神様はみんな超人的でありながらもどこか俗っぽくて不完全であるところが魅力なのかもしれない。
Ysatisのパートナー
今日の香水キュセリウス(XERYUS)は、イザティス(Ysatis/Givenche/1986)のペアフレグランスとして登場した。
イザティスがイシスとイゾルデからきているのだから、各々の夫や恋人であるオリシスとトリスタンをミックスしたネーミング・・・というのはやっぱり雑な考え方で、香水の創造性やアート的な価値観を考えればやはり、単なる対称性ではなく、そこに匹敵するようなクリエイティブが必要なのだった。
ゼウスを思わせるような響きやXから綴りが始まる神秘、これだとわからせないスケールを感じさせるネーミング。
XERYUS/GIVENCHY/1986
ジバンシーは1993年にアンサンセ(INSENSE)を出してメンズフレグランスと女性用の境界線がなくなるきっかけをつくった。
80年代的な強い匂い立ちの中に、ナツメグやタンジェリン、ラベンダーなどが独特の雰囲気を醸し、シクラメンやゼラニウムのフローラルがウッディやムスクに包まれて香る。ラストはかなりバルサム香気がたつ。
アンサンセはフローラル化、ライト化で境界線を突破したけれど、この
キュセリウスは甘さ、優美さですでに男女差を解消している感じがある。
この香調、かなり際立つ存在である。
どんな人をイメージしたのか?
調香師はアルベルト・モリヤス(alberto morillas)。
ケンゾー、イッセイ、ブルガリ、カルバンクライン、グローバルブランドでたくさんのシリーズを手掛けている。
アルベルト・モリヤスにはどんなオーダーがいったのだろう。
ミステリアスなイメージ、香りには起伏がありかつ豊潤で、動的であり洗練されていること。勝手にそんな想像を、このできあがった”カタチ”から想像した。
そんな人がYSATISにふさわしい。
香り、思い、呼吸
10月21日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。