見出し画像

イヴのすべて 1月30日〜365日の香水

美しいケース
真っ赤なサテンの金の小さな把手がついた丸いケースを開けると若草色の薄い紙に包まれた丸いボトルが出てきた。サテンのケースは丸いボトルを入れるには随分大きく、香水のためというよりも、それ自体に素敵な用途を見出せそうだった。
実際にしばらく、それに一番似合いそうなもの、黒のレースと赤紫のベルベットの手袋を納めておいた。
そうしてボトルそのものは別の場所に収めた。
誰がくれたのか自分がどこかで見つけたのか、香水「all about eve」との出会いの頃の記憶はその程度だ。
今はもうなくなってしまったけれど、あの赤いサテンのケースをもっと大切に扱っておくべきだった。手袋の後、アクセサリー、化粧品と入れるものが変わるたびに扱いも雑になっていった。
この香水の住処としてのあのケース。

aii anout eve /joop!/1996
90年代半ばの特徴的なフルーティフローラル。
グルマンノートも隆盛したころだから、たっぷり甘い感じがある。
そのネーミング、イヴにちなんでかアップルがトップノートを瑞々しく立ち上げるがすぐにヴァニラが主張してくる。相まって人肌に乗るようなしっとり柔らかい表情を見せる。ある時代まで多くの映画女優が持ち合わせていた「雰囲気のふくよかさ」、そんな風合いを想起させる。フルーティとバニラノートのハーモニーが心地いい。

イヴの全て
観たことのない映画だけれど、タイトルは知っていた。有名な映画であるのかもしれないけれど、マリリンモンローのブレイク前の出演作でもあったから、それでタイトルが印象に残ってたのかもしれない。
映画を観てないので何とも言えないけれど、恩人を踏み台にして策を弄してのし上がっていくハリウッド女優の物語らしい。実際のモデルがいる短編小説が原作らしい。とすると香水後ほどモチーフとしてはネガティブな側面も。
けれど、なにをモチーフにしてもそこには色々な面が含まれる。
香りで表現するアートのイメージの源泉の多様性。
「イヴの全て」のどんな輝きがこの香りにつながったのか。
観てのお楽しみ。

香り、思い、呼吸。

1月30日がお誕生日のかた、記念日の方おめでとうございます。

いいなと思ったら応援しよう!