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アリア 旋律の中の情緒 11月26日〜365日の香水
音と香りの共通点
今日の香水はその名もアリア(aria)。
音楽をテーマにした香水はたくさんある。
音も香りも形がなく、手に取ることも目でみることもできない。
そして音の響きも芳香物質の揮発も空気あってこそ、
そういう共通点がある。
そういう意味で共通言語化が難しくて、その音、その香りをどう表現するか、似たような苦労があるかもしれない。
そして、可視化できない時点で抽象度の高い存在だから、音楽の世界を香りにするというのは概念を概念で表現するようなものでもある。
音階と香階
ただ多くの音楽には音階があって、それを読み解くことでどのような旋律かリズムかが再現はできるので可視化のための記号ということでいえば、それは音楽にはある。
これを香りに当てはめた研究者が*いた。18世紀か19世紀の人でロドニー・ピアスという人だ。知る人ぞ知る「ピアスの香階」を創った。
原書を読破していないので、明言はできないけれど、香階を一見すると芳香物質の揮発度が一つの基準になっていたようだ。ベチバーなど揮発度の低いものは低音部、レモンな度高いものは高音部に割り当てられていた。
この香階を元に一つの曲を香りで表してみる、といったイベントも行われたこともあるようだ。
サロンでも香階理論に基づいた香りの体験イベントをやってみたいと思っている。
ARIA~歌唱力と表現力
さて、音楽の中のアリア。旋律を情緒的に独唱する、当然、歌が上手いことが条件。なおかつ情緒的な表現なのだからオペラなどでは演じている役を深く理解し感情を表現できていることも重要になるのだろう。
きっとそれは、怒りの時は怒りのままに、悲しみの時には悲しそうに歌えばいいといことではないのだろう。
その旋律に悲しみを感じる、怒りを感じるような歌の中の表現ということだと思う。
感情のままが表現力である、ということではないのだ。
ジャンルは違うけれど、ミュージカルの作曲家クロード・ミシェル・シェーンベルクが、かつて出演者に「音に正確にあまり感情を乗せずに歌ってほしい」と言ったと聞いたことがある。
何故なら、感情はすでにメロディが表現しているから、ということだった。
これもなるほど感があって、素敵な歌なのに感情が先行しすぎてミュージカルナンバーというより演歌やロックのように聞こえ、行き過ぎ感を抱くこともたまにあるからだ。
ARIA/MISSONI/1987
パウダリックでフルーティなフローラルノート。十分なスイートさがありながら、スパイシー感を添えてパウダリックにしているので、大人の落ち着きを感じる。
高音域のパワーと低音の説得力、確かな歌唱力と情感、この香水はやはりマリアカラスを思い起こさせる。
繊細さとは異なる危うさ、それでいて揺るぎなさもある。
香り、思い、呼吸
11月26日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。