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放浪のエリザベート 12月24日〜365日の香水

クリスマスイブ
聖書の記述ではキリストは夜に生まれたとされている。今日はその前夜祭。
昨年のクリスマスイブには、キリスト生誕に東方の賢人から捧げられたという黄金・乳香・没薬について書いた。

皆さんは、今日はどんな風にすごすのだろうか。
私は中学生くらいまでは教会に行き、ミサに参加していた。
大人になってからは、二度ほどクリスマスをパリで過ごした。
サクレクール寺院と奇跡のメダイの教会でミサにも参加した。
今日は、12月24日生まれの、ある女性について書いてみたい。

シシィ(SISSI)
1837年12月24日、バイエルン公の次女として生を受けた彼女はシシィの愛称を持つ。本名はとても長いけれど、エリザベート皇后といえば映画や舞台でも有名だろう。オーストリア=ハンガリー帝国の君主、ハプスブルグ家のフランツ・ヨーゼフ一世の妃。

美と放浪
ハプスブルグ家に嫁いで、「ヨーロッパ一美しい皇后」と称賛された長身の皇后は172センチで43キロ、ウエストは51センチ、多少の体重の増減はあってもこの体系を生涯維持したという。皇后が宮殿にいる時に使ったという運動のための器具なども残されている。
晩年は美貌の衰えを気にして常に扇で顔を隠すようになった。
確かにエリザベートの肖像画や写真は若い時代のものが多数だ。
そして、放浪癖。
侍女を引き連れて、ヨーロッパ各国を放浪した。
ハプスブルグ家の窮屈さ、姑との対立、様々な要因が自由な魂の持ち主だったエリザベートを孤立させ、宮廷は息苦しい場所となり逃げだすように放浪を繰り返したという。

心理的安全性
放浪は心理的安全性のために宮廷と物理的な距離をおくため、だったのだろう。定期的な旅やイベントが心の支えになっている人は少なくないはず。私にもそういう時期があった。
生き延びる術。
放浪と自分を解き放ち気の向くままに流れに身を任せることで、そのような時間が人には必要なのだと思う。
エリアべートの放浪の旅には共感しかない

自衛
一方で、最後まで美貌にこだわったという皇后。名誉欲や支配欲よりも、美しくあることこそ、自分を確認する術であったかのようだ。
おそらくエリザベート自身、その美貌は国民からの人気や信頼にもつながり、少なからず自分の評判がヨーロッパに”良い形”で波及する要因もそこにあると、考えていたのだと思う。
支えがあるということは、恐怖につながる。もしそれがなくなったら、と。
そう考えると、人が生きるということは残酷で厳しいことなのだなと思う。
美しいからこそ受け入れられたと思っているのだから、美しさはそれをなくしたらどうなるかという思いを同時に呼び覚まし、脅威にもなる。
皇后は自己防衛のために美貌の保持に駆り立てられたのかもしれない。

elizabeth 1/violon parfme vienne
オーストリアのドメスティックなブランドのようで、以前に紹介したフランツ・ヨーゼフの香りとはペアフレグランスになるのかもしれない。
フゼアノートが特徴的で、クラシックなフローラルでまとめられている。
自由な魂を取り戻すために、旅に出る皇后の化粧箱を開けた時に解き放たれるような郷愁と気品の漂う香り。
エリザベートが放浪の旅に出ることで、自身を保ち新たな日々に向かったように、クリスマスというイベントが新たな活力になりますように。

香り、思い、呼吸
12月24日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。



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