古き良きと若者文化のが間、1950年代 11月8日〜365日の香水
造語
香水の名前には時々造語が冠せられる。ジバンシーのアマリージュは、(amarige/givenchy)はアムール(Amor)~愛とマリアージュ(mariage)~結婚を組み合わせたもので、女性の究極の幸せのために創られたという。
現代は愛と結婚以外の幸せもたくさんあるけれど。
サンローランのイブレス(Yvresse/Y.S.L)は、酩酊を意味するイブレス(IVRESSE)の頭文字をYにしている。同じ発音でブランド名に寄せた表記のアレンジ。
なんとなく、造語を見ていると、どんな言葉、どんな思いやイメージなのかが想像されてくる。
チベットの女神?
今日の香水は20世紀中頃に登場した。
第二次世界大戦が終結して10年も経たない頃、レヴィオン(Revillon)から出た「デッチェマ(デッチマとも)Detchema」。レヴィオンは毛皮のブランド。
このデッチマも造語らしいけれど、全く想像がつかなかった。
ある古い本に「チベット地方の女神の名」と解説されていたけれど、それらしいものはみあたらない。
二つの言葉の組み合わせ?
Detで始まる言葉、amaで終わる言葉などいろいろピックアップしてみた。
前者にはディティール(detail)や決断を意味するdétermination、後者はシネマ(cinema)やテーマ(thema)などが出てきた。
こじつけつことはやめて、デッチェマはデッチェマでと思い直した。
世界中で支持された代表作
貴重なコレクションとしてパルファムエキストレを昔いただいた。
管理が悪かったのか久しぶりに開封したら、残念だけれど激減していた。
この香りは日本でもいくつかの企業が輸入代理店になり扱われていて世界でも日本でも人気があり、レヴィオンの代表作になった。
Detchema/Revillon/1953
香りはアルデハイドタイプ、フローラル部分はスパイシーフローラルであり、ジャスミンやミュゲ(スズラン)などホワイトフローラル(白い花の香り)がメインになっている。
シャネルのNO.5 登場以来、人気を誇ったカテゴリーでアルデハイドの隆盛は1970年代くらいまでは続いたので半世紀近い黄金時代。
合成香料アルデハイドは今も、あらゆる香水に欠かせないけれど、この系譜、香調の香水は20世紀前半から中盤にかけてとにかく流行した。
装うイメージ
レヴィオンがもともとは毛皮ブランドなので、ファーの縁取りのある手袋、細いウエストラインと鍔の広い帽子、そんな冬支度のような装いを想起する。この10年で毛皮の取引は3分の1ほどになったけれど、手袋のふち飾り程度は許してもらおう。
あたたかみと、スパイシーとスイートが共存するので、秋から冬への移行期が一番似合いそう。
1950年代は、戦争が終わって再び優美にファッション遠楽しめるようになった時代。そしてすぐにやってくるジーンズやミニスカートなど若者文化がファッションを支配する前でもある。
ここに時代を境にファッションのスタイルが変化していく。
羨望が装いの中に香っていた時代。
香り、思い、呼吸
11月8日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。