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1月30日~抱擁  狂騒の時代からのギフト~366の感性と偶然

1月30日の香り タバックとクマリン


やわらかく、あたたかみがありドライ
今日のアコードをとるにあたっては、両者の濃度にかなり段差を付けた。
その濃度調整のうえで、配合はタバック2:クマリン8

あたたかみのある柔らかい心地の、程よいスイートさのアコード。
ミドル以降ドライ感が強まっていくけれど、それはとても良い感触のドライ感。滑らかな布に包まれて心があたためられていく感覚。

抱擁するように
このアコードはタバックとクマリンの抱擁。
タバックのドライでともすれば”マッチョ”になりそうな要素を、クマリンが関わることで落ち着いた穏やかさだけをひき出す。
同様にクマリンのお菓子を思わせるような甘さをタバックのドライ感が抑制して程よい甘美に仕立てていく。

抱擁、その先の展開
このバランスを保ったまま、このアコードに”次のもの”を加え変化させながら、今のラストノートに持っていく。
抱擁の先の展開も楽しみ。
”次のもの”が何かによってさまざまな展開が予想される。
シプレーやオリエンタルに使う定石もありだけれど、シトラスノートと合わせて大人のオーデコロンに仕立ててもみたい。ホワイトローズやミュゲなどのフローラルノートをどのように変化させるか、という展開も確認したい。
それは少し先の話だけれど。

この軽やかでありあたたかみもあり、ドライでありしっとりもしているアコードは、私自身のちょっと疲弊した心を抱擁してくれている。

タバックとクマリンについて
タバックは葉巻タバコを思わせるハーバルでドライな独特の香り。
狂騒の時代と言われた1920年代にタバックノート(タバックの香りをメインにした香り)は流行した。この背景には、”新しい時代の女性たち”の支持があったという。
女性の喫煙というのは当時はまだまだ公の場で普通に許されることではなかったようで、「タバコをたしなみたい」という新しい時代感覚と意思を持った女性たちが、その手前の行動として香水でタバコの香りを楽しんだというのがその背景にあるという。キャロンのタバブロン(tabac blond/caron/ 1919)などはこの時代の名香だ。

クマリンはバニラに似た甘い香気の合成香料。19世紀末から開発が盛んになった合成香料。合成香料を用いた近現代香水の歴史の始まりに存在すると言っても過言ではない香料の一つ。

香り、思い、呼吸
1月30日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

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