ナポレオンとオーデコロン
映画ナポレオンを観た。描かれたのは、これまで通りのナポレオン像だったけれど、戦闘シーンで戦術を再現しつつ、一兵卒の死を繰り返し描いていくので、「戦いの天才」「稀代の戦術家」というのはこんなにたくさんの命を奪う人のことなんだと、ハンニバルやアレクサンダーのことにも思いが及んだ。
戦争は人の命を奪うこと。当たり前のことなのに。
ナポレオンが遠征にも何十本という単位で携帯していたというオーデコロン(Eau de Cologne)。このフランス語はケルンの水という意味で、ケルンというのは大聖堂で有名なドイツのライン河畔の町を指す。
伝承は諸説あるけれど、ライン河の水を使って創った柑橘系の香り、”ケルンの水”が爆売れして、フランス受けするように名称もフランス語にしたものが定着した。
遠征先では、アルコールの度数が高く消毒殺菌にも使えただろうし、体臭のマスキングにもなったのだろうか。
特に、4711というオーデコロンはその名が、ナポレオンのプロイセン併合の区画整理で4711番地とされたことに由来するものなので、ナポレオンの愛用品と紹介されていたこともある。但し、最初のオーデコロンがヒット商品になってフランス宮廷でももてはやされるくらいになっていたので、雨後の筍状態でオーデコロンのハウスがケルンでは乱立していたらしい。
4711社と、創始者の系譜と名乗るファリナハウスは今もケルンに本店があり、両方とも訪れたけれどファリナハウスでは4711のことを「我々のコピー」と言ってはばからなかったのが印象に残っている。
最初にエルバ島に流された時にはある程度の日常品としてお気に入りのオーデコロンも携帯できたいたのではないだろうか。
同じオーデコロンの香りを、破竹の勢いの遠征先と転落して流された地でナポレオンはどんな風に感じたのだろう。
香り、思い、呼吸
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