ゆく川の流れ 10月22日〜365日の香水
観光誘致と砂
何故言ったのかは忘れてしまったけれど、旅行博のようなEXPOに行ったことがある。いろいろな国や地域が観光誘致のためにEXPOに参加してブースを出していた。
何処かは忘れてしまったけれど、アジアのある国のガイドブックをもらった。
「〇〇に来たらこんな体験ができますよ」というPRの冊子だった。
1ページ目に現地で味わえる(多分宮廷料理のような)グルメ情報。
大きな何枚ものお皿に盛りつけられたお料理はおいしそうだった。
2ページ目に民族衣装の着付け体験があった。
京都などでも着物のサービスがあるし、先月行ったタイでもいろいろな種類の民族衣装で寺院を観光する人をたくさん見た。
鮮やかな色彩で、金子銀子が施され、なんとなく中央アジアから東アジア圏のやはり私達には馴染みのあるようなデザインだった。
今では謎のあの砂丘
3ページ目。
「砂すべり」とあって、砂丘を簡単なボードのようなものに跨って、楽しそうに滑る人たちの写真だった。
普通に考えたら、砂丘以外に見どころはないのか、という話だけれど、今ならむしろそういう素朴な場所を訪れてみたい気持ちがある。
アジア、砂丘、サンドスキーでいろいろ検索してもそれらしき場所は出てこない。あの場所は今はどうなっているんだろう。二十年近く前のことなので、きっとその国か地域も開発が進み、砂滑り以外にできることは増えたと想像する。ショッピング、歴史博物館、カフェ・・・。
ニュールックのようなドレープ
砂丘をみたことがないけれど、想像の範囲では、砂漠のような過酷さはないし、観光地化されているところも多い。
風が運んだ砂、風により微妙に形を変えていく砂丘。まるで鴨長明が方丈記の冒頭でいった「ゆく川の流れ」のような儚さを感じる。
永遠に形をとどめることがない宿命。
ディオールのニュールックのように贅沢で豊かでなだらかなドレープ、それが少しずつ風によって変化していくという悠久。
砂丘にはなんだか貴婦人のような落ち着くと優雅さがある。
DUNE/C.Dior/1991
自己主張とセンセーショナルの80年代から90年代に入ろうとしたとき、ディオールは新しいアプローチの香水を世にはなった。
フローラルオリエンタルの構造を持ちながら、混然ととらえどころのない香調は、指の隙間からさらさらとこぼれおちる乾いた砂のようだ。
とどまることを知らない。
ベースノートがあたたかみを感じさせながらも、濃さよりも淡さを感じさせている点がユニーク。
贅沢なドレープのドレスを纏う代わりにこの香りを纏えば、近寄りがたい魅力と儚げな美が協奏してくれそう。
香り、思い、呼吸
10月22日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。