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幸福のお守り 11月1日〜365日の香水

一期一会
限定ということが、それを手に入れたいという欲求をかきたてる。
数量や期日を限定するもの、あるいは対象者を限定するもの。
その時に、そこに行かなければ手に入らないものや体験。
そう考えると、サロンでゲストがご自身のために調合するオリジナルは完全な限定品だなと、改めて思う。
まず数は一つしかない、世界に一つ。
オリジナルには即興的な要素もあるので、その日その時間との関係性の中で作品は生まれる。それもその日限りの創造といっていいのかもしれない。
一期一会のクリエイティブ。
お客様は、大切にそして気軽にお使いくださっていたらいいな、と思う。

限定復刻したミュゲ
私のコレクションで、ゲランが1908年に出した「ミュゲ(muguet/スズラン)」を2000年ミレニアムを記念して復刻させた「ミュゲミレニアム(muguet millennium)」がある。
オリジナルはジャックゲラン、復刻版はジャンパールゲランの調香。
ミュゲ(スズラン)の香りは古くからヨーロッパで愛されてきたし、香水のテーマにも取り上げられてきた。
清楚で瑞々し香りはブルジョワ階級に支持された。

世界に6000個のミュゲ
2000年の復刻版は全世界で6000個の限定品。
最初のロットがそのくらいというのはニッチブランドが隆盛している現在はなくはないはなしかもしれない。
2000年当時、グローバルブランドであり老舗であり、香水のリーディングカンパニーだったゲランとしては驚くほどの少ない数。
この香水を手にした人は世界で6000人だけ。
シリアルナンバーが入り日本にも入荷した。
ボトルラベルに1908年当時のシャンゼリゼ通りを描いたイラストが描かれている。ボトルも花型、当時のゲランの香水のいくつかはこのタイプのボトルに収められていた。
タイムスリップしたような気分をその外観からも味わえる。

失意の時、希望を与えたミュゲ
ミュゲの純白の花、そのイメージを大切にパッケージも純白で、繊細な線でミュゲの輪郭を描いている。
手にしてからずいぶん経ったとき、ふとこのボトルを眺めて「私は幸せになりたい、ほんとうになりたい」そう思ったことがある。
大切な関係を失った直後だった。
香りに好みはあるけれど、幸せというものが遠のいたときに無条件で寄り添い励まし、力を与えてくれるのはミュゲという存在だ。
幸福にまつわる花の物語、純白、そして清楚で瑞々しくありながらも強さのある香り。
これは世界に6000しかない、幸せへのお守り。

mugeute millennium/Guerlain/2000
ミュゲを主香にしているけれど、ゲランらしくグリーンノートをにじませながらも、まろやかで重厚感さえ感じる香りになっている。
それはよく冷えたアイスクリームが、上質なバニラによって清々しくリッチな甘さを感じさせるのに似ている。
ミュゲのシングルフローラルタイプ~一種類の花の香りをテーマにした香水。

香り、思い、呼吸
11月1日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。



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