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MISSの文脈~2月21日の香り~366のクリエイティブ

2月21日 調合香料MISSとアンバー

調合香料のMISSはパチュリを中心にフルーティなアクセントで快活さと意思の強さを香りで表現したもの。
ウッディな深みと明るいフルーティな対照的なニュアンスを持つ香りの組み合わせを特徴にしていて、ハイヒールでらせん階段を駆け上がっていくようなおしゃれだけれど活発さのある女性像がそこにあった。
その調合ベースに動物性香料のアンバーグリスの香気成分を組み合わせた。
アンバーグリスの天然香料は現在では幻のように希少な存在なので、使用したのは合成香料アンブロクサン。
MISS7に対しアンブロクサン3で配合した。

MISSの”課題”
実はMISSにはもともと”課題”があった。
パッションフルーツからパチュリへの移行がはっきりしすぎることだった。
調合ベースは半完成品なので、そこからさらにいろいろな香りを重ねていく前提ではある。それでもワークショップに参加くださる方々向けには、この課題は解消してもいいかな、と思っていた。
颯爽と階段を駆け上がるMISSの足音が俄かに途絶えてしまうような印象を、変えてみたい、それが今日のアコードの動機。

快活さをさらに強調するべきか
課題を解消するためには二つのアプローチがあった。
パッションフルーツの要素を高めて快活さをさらに押し上げる手法。
もう一つはパチュリ系の深みを強調することで段差を小さくするもの。
今日は動物性香料であるアンバー系のものを合わせたので、後者のアプローチをとったことになる。

結果は文脈の中にある
関係は常に相対的なもの。
うすぼんやりした色は白の背景の中では同化するけれどビビッドな赤やあるいは漆黒を背景にすれば、その”うすぼんやりした”ことこそが際立つ。
いつも思うけれど、目立つ人目立たない人がいるわけではない。
(たまたま)「ココでは目立つ人」がいるだけ。その人が「あっちでは目立たない」かもしれないのだ。
どのような場、言い換えれば文脈の中に置かれたかで、そのものの見え方はまるで違ってくる。
現れた結果はその文脈における結果に過ぎない。

心落ち着かせる何か
アンブロクサンとの出会いによりMISSの持っていた段差は小さくなり、階段を駆け上がる時に響くヒールの音はいつまでも続くようになった。
パッションフルーツの明るい感覚がトップノートで抑えられた分、劣らず継続しているからだ。
勢いだけではない、何か深く心落ち着けるようなものが結果として活力の持続性につながる。

調香という関係性の世界
調香が香料と香料の「関係」によって意味を持つように、私たちの存在もまた、周囲の環境や文脈との関わりの中で際立つもの。
MISSに課題があったのはMISSそのもののせいではなかった。
同様に、物足りなさや違和感を感じる時、それはその文脈の中でのバランスの問題なのかもしれない。
新たな要素を加えたり、少し視点を変えたりすることで、思いもよらぬ調和が生まれるように課題は解消されていく気がする。

香りを創ることは、関係性を創ること。
香り、思い、呼吸

2月21日がお誕生日の方記念日の方、おめでとうございます。
2月21日の香水はこちら


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