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夜に所属する音と香り 11月18日~365日の香水

目覚め、午後、眠りのためのアコード
adams fragrance familyのベースに一日の時間経過に応じた3部作がある。

morning birds】
これは、朝のスッキリした目覚めと、朝の窓辺に運ばれるナチュラルな風をイメージした。草花の緑とシチリアのベルガモットのアコード。
軽やかさと始まりの清々しさを感じてほしいためのベースだ。

【Be Myself】
午後のイメージ。一日の半分を過ごしたら、自分と向き合う時間だから、好きなお茶と本とでつくる自分の居場所を香りで提供したかった。
お茶としてアッサムティー、優しいホワイトフローラルのアコード。

【Dreaming】
眠りのために創った。一日を終えて、良い夢へと誘われることは、癒しと活力を与える。静かで幻想的なアコードのためにブルガリアンローズとサンタルウッドを選んだ。

一人の時間
これが「朝」「午後」「夜」のための3つのアコードでもう3年くらい前に作ったもの。
その時は時間と気分を意識していたけれど、こうしてみると設定は目覚めの瞬間、居場所に戻る時、眠り、すべて”一人で”という設定だ。
誰かが傍らにいたとしても、目覚めも眠りもその瞬間は一人なのではないだろうか。
今日はそのうち、夜について少し考えたい(感じたい)。

夜想曲
「夜のための音楽」であるノクターン(Nocturne)は、アイルランドにピアニスト、ジョン・フィールド(1782-1837)が創始者とされ、ショパンによって大きく発展した。
夜の落ち着いた雰囲気、ロマンティックな雰囲気、静けさ。
ノクターンは「夜の、夜に属する」意味の言葉だったけれどそれを「夜想曲」と訳した人のセンスが好きだ。
夜に想うのか、夜への想いか。
それは暖かいものか、寂しいものか。
いずれにしても鎮静作用のある精油のような役割を果たしてくれる音楽だ。

一年前の今日に、Nocturneについて書いていた。

Nocturne/Caron/1981
トップノートのネロリやラストノートに出てくるサンタルウッドはアロマセラピー領域では心落ち着ける鎮静作用があるとされている。
同様に、イランイランやローズはロマンティックな気分を誘うとされる。
フローラルアルデハイドタイプだけれど、アルデハイドは拡散や躍動ではなく、音や想いの重なりを表現しているかのよう。

一人、夜に想う
夜想曲はどれも耳に優しく、瞑想的だけれど一日中聴いている音楽ではやはりない。
夜が似合う。どんな状況でも誰といても、心の湖に自分を映すし、自己対話をそっと促すような音楽であり、その音楽のための香水がキャロンのノクターンだ。
私はたまたまプーランクのノクターン1番を聴きながら書いたけれど、
虚しさも傷ついた心も、暖かい感謝も思い出ももすべて、”夜に属する音色”が鎮めてくれるかのようだった。
それは一人の瞬間のために存在する音と香り。


香り、思い、呼吸
11月18日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。

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