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2月4日の香り~白く輝く 中世騎士道と茶庭~366の感性と偶然

2月4日 アルデハイドタイプとグリーンティ

雪の残る茶庭に日が差し、所々が銀色に。
音のない世界が、土や草木の香りを吸収した銀の雪の匂いを運んでくる。

白のアルデハイド
アルデハイドタイプとしたのは、合成香料アルデハイドそのものではなく、その特徴を活かした調合ベースにしたものを用いたから。
アルデハイドはシャネルの5番に大量に用いられたことでよく知られる。
今日使った調合ベースはアルデハイドは主体だけれど、シャネルの5番とは全く異なる香調。
それは清潔感とソフトで軽やかなホワイトフローラルをアルデハイドが躍動させているイメージ。
個人的にはシャネルの五番のアルデハイドはダークブラウン、今日のは、白のアルデハイド、という感覚。
そこにグリーンティを組み合わせる。
グリーンティはアクセントとして濃度も抑えて、両者は7:3で配合した。

茶人から騎士道へ
そこで立ち上がったのが、先ほどの光景。
この雪の光景は寒さよりも、輝き、雪解けの温度感を伝えてくるもの。
そこに、草木の生命の静かな息吹。
時間の経過とともに、茶庭のように思っていた光景は、童話の中の光景のようにファンタジックに変わっていく。
中世の古城、雪の残る朝の庭園。姫君を守るための騎士が控えていそうな世界。
このイメージの拡張はミドルノートでアルデハイドがさらに広がりを見せてくる影響だ。
ラストノートは二通り。
茶室での時が終わり、再び茶庭をゆき、最後に顧みるその光景。
あるいは、騎士と姫君の物語が終わり、最後のページの平安な庭の光景。
いずれも心の中にとどめておきたい白く輝くそして、どこか暖かさのある光景。
白く輝く余韻。

アルデハイドが展開させる物語
合成香料は香りの変化や表現の幅を飛躍させた。
アルデハイドは、拡散性や多層性、多面性など組み合わせにより様々な役割を果たす。
グリーンティが関わった今日は、早朝の茶庭の心引き締まる光景から始まり、アルデハイドの広がりとともに”侘び寂び”から”中世騎士道”の世界にシフト。
そして茶席にしても騎士道にしても、グリーンティが輝くアルデハイドに凛々しさを付加して物語は終わる。

茶室と騎士
戦国武将は茶室に入る時は丸腰、そうしなければ入室できない小さな入り口にもなっていた。
おそらくそこは戦場と対の場。茶室にいる時間、自身に精神を集中させ、より良いあり方を問う。だからこそ、帯刀さえ必要なかったのだ。
その世界に”にじり入る”過程に置かれたのが茶庭。
それが中世騎士の世界にシフトした。
きっと騎士道にも似通った精神性が宿っているからだと思う。
剣の強さ以上に、マナー、洗練、精神の鍛練が求められた騎士道は
他者の尊厳も重んじた。捕虜となった敵将は丁重に接遇したという。
これもあり方を問う道。
今日のアコードが思いもしなかった二つの世界に橋を架けた。

香り、思い、呼吸
2月4日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。

2月4日の香水はこちら


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