心優しい騎士のベチバー 7月22日~365日の香水
優しく包み込む安心感
ベチバーの香水について扱うのはこれで三回目。
土っぽい独特の香りのベチバーは、香水のベースノートとしての活かし方はもちろん、ベチバーそのものを主香にする場合も多い。
一昔前まではメンズフレグランスとして、現在も男女を問わずに。
樹木が大地に根差す感覚を想起させる香りは、やはり自然という感覚と結びつく。
その中でも大自然の荘厳さや激しさではなく、私たちを包み癒す安心感のあるすぐそばにある自然というイメージがしている。
ベチバーとヨーロッパ
原産地のインドやスリランカでは古代から医療にも用いられてきたイネ科の多年草が、ヨーロッパにもたらされ、香水文化と結びついたのは19世紀に入ってからという。
17~18世紀にすでにヨーロッパには入っていたけれど、最初は”虫よけ”として知られる存在だった。
インドから輸入されたモスリンにはベチバーの香り付けがされていて、これが徐々に”香り”に注目をさせていったようだ。
あるいは、芳香物質が内包される根で編んだ扇子やカーテンなどもあったようで、これらに水を吹きかけて香りを楽しむこともしていたという。
ベチバーと沖縄
直近では沖縄で”美ら海”を守るためにベチバーが活躍している。
赤土の流出を防ぐために使われているそうだ。
ベチバーの深い根は土壌をしっかりと固定し、豪雨や風による土壌の流出を防ぐそうだ。さらに、農地の保護や周囲の水質改善にも寄与するという。
ベチバー・カルヴァンの評価
こちらのサイトにはこんな記述も。
「1957年にカルヴェンはこの神秘的な成分をベースにした男性用フレグランス「ベチバー」を発売した。この調合は驚異的な成功を収め、ベチバーの嗅覚特性をすべての人に知らしめた。60年代には、男性は皆、この典型的な香りをたっぷりと体に吹きかけ、男性用調合品の主力成分となった。」
Vetiver carvin/Carvin/ 1957
ベチバーを大胆に用いながら、ラベンダーやセージのハーブがその核を柔らかく包むので、メンズフレグランスという感じはそれほど強くない。
ナチュラル志向で、繊細さもあるウッディ調になっている。
実に、さりげない香水だ。
上記の記事で「たっぷりふりかけ」とあるが、確かに多少多めに使っても「強烈な感じ」にはならなさそうだ。
冒頭で描いたベチバーのイメージ、厳しさや強さよりも、包んでくれる優しや安心感を、この香水が助長しているからだと思う。
過去のベチバー系香水のNOTE
香り、思い、呼吸
7月22日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。