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Do you love me?~2月8日の香り~366の感性と偶然

2月8日 オレンジとネロール

ーわたしの香水 好き?
ーうん きみの香水 好きだ
ーわたしのこと 趣味がいいと思う?
ーうん、きみのこと 趣味いいと思うよ
(R.Dレイン『好き?好き?大好き?』/訳村上光彦より)

今日のアコード、香りの変化
トップノートは明るく洗練されている。ミドルノートになるとネロールの中のローズ様の香りが立ってくる。ローズの花そのものよりも葉や茎のグリーン感を大いに含んでいる。
このローズの茎や葉の感覚には、若々しい躍動と同時に大人びた洗練も感じる。
それは、まっすぐに伸びる茎が素直さと、揺ぎ無さから感じる強い意志ともいえる。
二つを持った香調にミドル以降、緩やかに変化していく。

Do you love me?
今日のこのアコードの持つ「素直さ」と「意思」の関係は、R.D.レイン(Ronald David Laing)の「Do you Love me?のようだと思った。
精神科医であったレインが詩と会話のエンタテインメントとも言われる詩ともシナリオとも対話とも、どれともつかないような新しいジャンルを創造した、「Do you love me?」は、第二弾の表題作でもある。
邦訳は「好き?好き?大好き?」となっていて秀逸だなと思った。
Do you love me?(好き?好き?大好き?)と恋人に問う、恋人は好きだよ、と答える。
その繰り返しの中で好き?と尋ねる気持ちはどんどん成長し、常に問いに等しい解が返ってくる。うんうん、大好き。

答えたことと、答えなかったことと
私は、答える側に対して「聞かれて答えるのではなく、相手がどんなに大事か自分の言葉で、自分から先に自分から言ってあげればいいのに」と思った。
友人は聞く側に対して「相手を信頼して会話を楽しんでいるんだな」と思った。
別の人は幸せのピークと感じ、別の人は別れの予感を感じた。
言葉が重なるごとに、どっち?という気持ちが交錯していく。
その感覚は、オレンジが引き立てるネロールの、これは素直さなのか意思の強さなのか、という交錯に似ている。
聞きたいことも、聞きたい理由も一つではない。
答えの中に事実があるように、答えなかったことの中に真実があることもある。

オレンジとネロールについて
オレンジはオーガニック系の精油由来でエタノールで希釈。
ネロールは合成香料で様々なフローラルノートに用いられる。ローズ系の香気を有するけれどゲラニオールなどに比べると弱く、マリン様の香気があるとする人もいる。
いずれもトップノートを形成するのに適した香り。
濃度調整のあと、オレンジ3に対してネロール7で組んでみた。

香り、思い、呼吸
2月8日がお誕生日の方、記念日の方、おめでとうございます。

2月8日の香水はこちら


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