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1月9日の香り~366のアコード「芳香のバディ」
1月9日 へディオンとαダマスコン
へディオンもダマスコンも香水には欠かせないと言っていい合成香料。
合成香料の開発は近代の香水産業を発展させた。香りの世界は広がり、マーケット的な選択肢も広がった。
つまり科学技術によって、香水の完成としての「形」は無限の可能性を持つ世界に移行できたと思っている。
366のアコードではその中から”たった二つ”を”その日のためだけ”に選ぶ。
今日はへディオンとダマスコン。
へディオン(hedion)
香りの女王として君臨するジャスミン。
天然のジャスミンはとても高価だから成分分析は20世紀前半から各社、研究者たちがしのぎを削ってきた。
そうして発見されたごく微量だけれど強い芳香物質。
ほどなく人工的な再現(化学合成による組成)が可能になった。
それをいち早く調香に取り入れたのはエドモンド・ルドニツカ。
ディールのオーソバージュに配合された。
昔からへディオンと名付けられたこの香料が好きだった。
フルーティという人もいいるけれど、美しい湖面に輝く月のような静けさと品格を感じる。
αダマスコン(α‐damascones)
香りの女王ジャスミンには花の女王ローズ由来の芳香物質を。
ローズの成分も数多確認されている。やはり微量だけれど、特徴的なもののひとつがダマスコン。これは確かにフルーティさのある香り。
湖面に映るのは、春から初夏にかけての鮮やかな花々の色彩という感じだろうか。
対称的な二人が生まれる
濃度は調整しつつ対等に配合してみた。
佐保姫(春を司る女神)と龍田姫(秋を司る女神)のようでもあるし、『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラとメラニー・ウィルクスのようでもある。
春には春の秋には秋の美景や美食があるように、対称的でありながら、どちらも魅力的で、そしてどちらかだけでは魅力が半減してしまうような二つ。
不思議だけれど、別々にいた時はどちらかが佐保姫でとか、スカーレットでとか、という存在ではなかった。
一緒になった途端にそこに、その”ニュアンス”が誕生したのである。
互いにエレガントなバディを引き当てたということか。
時を経てバディがチームとして成長していくように、
このアコードは熟成を経て本領を発揮するはず。
他者へのエレガントな尊重
人は何かと関係することで別の何かを生成する。
思いがけないもの、思いがけず素敵なものに。
そのためには、時に喧嘩はいいけれど、マウントはしないこと。
ぶつかり合いながらも他者をエレガントに尊重すること。
香り、思い、呼吸
1月9日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。
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毎日には必ず意味とメッセージがある。唯一の「その日」を二つの香りの調合で。
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