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行人坂教会、香りのサロン~生き方の香水とそれぞれの生き方

7月のサロンは行人坂教会をお借りして、「生き方」をテーマにモニタリングを行いました。

生きる、生き方というのは抽象度の高い概念ですけれど、一人ひとりにとって「今、生きている」という現実はとても具体的ですね。
香水も形がなく視覚でとらえることのできない抽象的な存在ですが、個々人の中に入った時、その人だけの感覚や記憶と結びついて極めて具体的なものになります。

ラインアップした香水の物語を参加者に届けたかった。


VIVRE/MOLYNEUX/1971年
生きる躍動感であり、生かされている奇跡を思うものでもある。
そのまま訳せば「生きる」でもあり「生きよ」でもある。
WHITE LINEN/ESTEE Lauder/1978
白い麻で整えられた家庭は当時のアメリカンドリームの一つの形であり、その家庭に収まることが女性の理想的な生き方だった。時は流れて、私たちは誰でも、
自身が望む場所を選択できることこそ理想と思えるようになった。
それでも気持ちを真っ新な麻で整えたい思いはきっと変わらない。
The DREAMER/Versace/1996
夢追い人とも夢想家ともとれる。パッケージの宇宙こそメッセージの神髄だと思う。
果てなく思い続けるから夢であり、もしも自分が宇宙の原子に還っても、
追い続けた夢は消えることはないようなロマンが溢れてる
INSENSE/GIVENCHY/1991
この時代の香りは諸相複雑で、一つ二つの香料で特徴を片付けることができない
アンサンセにもいくつもの意外性、想定外が仕掛けられている。
自由にイメージの飛躍、発想の行き来がでいないと楽しめない香りだ
C'est la vie!/christian lacroix/1990
LVMH総帥(本当の役職は会長)のアルノ―が一発で天才と見抜いたラクロワの栄華は
長いものではなかった。彼の初のフレグランスにそんな因果が漂う。
それだけに美しく希少で類稀ということでもある。華やかで刹那的。
ma griffe/carven/1946
セッション中に思わず「もうこういう香りはほとんど創られない」と漏らしてしまった。
とても必要な香りであり、歴史的であり、芸術的であるけれど、トレンドは変遷する。
これが前時代的でふるくさいかというとそうではない。決して望まれていないわけでもない。
説明のつかなさが、この香りの魅力でもある。

参加者は香水とご自身の関りを形容詞で受け止めたり(みずみずしさ、あでやかさetc)、アクションでとらえたり(包み込んでいる~、~な感覚を持つetc)、時制の修飾を加えたり(現在地は~、これからは~)して互いと香水の物語を重ねていらした。

私が抱いた香水の物語が、お一人お一人の中に入り込んで、今どんな具体性を帯びてるのだろう。
そう思うと、一番時間をかけるセッションの準備はトップノート、セッションはミドルノート、終えた後がそれぞれのラストノート、なのかもしれない。


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