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セーヌ左岸 8月8日 365日の香水

イブサンローラン(Yves Saint Laurent)と左岸
セーヌ左岸はカルチェラタンやモンパルナスなどパリの中でもお気に入りのエリアが多くある。
右岸はオペラ座やルーブル美術館、シャンゼリゼ通りなど「気合」とともに訪れるスポットが目立つのに対し、左岸はサンジェルマンデプレの「小粋」、モンパルナスの「郷愁」と”小さく”私の心を揺さぶるようなエリアが点在している。
サンローランは、初のプレタポルテコレクションを左岸の6区トゥルノン通りにオープンした。1966年のことで、この頃、サンローラン自身も7区に住んでいた。
プレタポルテに進出すると決めた時、オートクチュールのメゾンが集中する右岸ではなく、左岸を選んだことは、彼の挑戦の象徴と言える。

以前に、これについては書いた。


左岸人
パリオリンピックはセーヌと共に人々の思い出に残るような気がしている。
開会式のメイン会場がセーヌ川であったこともそうだし、いくつかの競技の会場にもなっている。
何よりパリと言えばセーヌなのだ。
その文化風土の中にいないからわからないけれど、さほど広いわけでもない川幅を挟んで右岸と左岸の異なるカルチャー、嗜好が育まれてきたのは面白い。
より自由でより前衛的で開放的な雰囲気が左岸には漂うのかもしれない。
「とらわれない心」と言えばいいのだろうか。
右岸のあらゆる名門が並ぶ威厳や風格、プライドに対して、それらから自らを解放するという気風。

左岸の風に吹かれたい
毎日の中で、自分をとらえる何か。ふとしたことで生じる波紋。
足元を掬われたくない思い。
同時に起きてもいない出来事に対して心と時間を使うことが疎ましいので、結局放置する。
数か月先、どうなっているのだろう。
何もかも忘れて、左岸の風に吹かれたい。

rive gauche/Yves saint laurent/1970
フローラルアルデハイドタイプでグリーン感のあるトップノート、ハニーサックスやスズラン、マグノリアなどの瑞々しいホワイトフローラル、それらに並走するアルデハイドが、川面を渡る風を感じさせる。
おそらくはジャック・ポルジェ(Jacques Polge)の出世作といっていい。
後に長きにわたりシャネルの主任調香師をつとめた名匠の才気ほとばしる一作。
何気ないようでいて、川のブルーをモチーフにした円筒形のボトルはとてもモダンでかっこいい。

香り、思い、呼吸
8月8日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。

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