Stayhome、"ふるきよき"香りのフィルターを外したお話。
香りにもトレンドがあるので、愛おしくてたまらない香水があっても、古典に分類されるような古い時代の香りは、外出で装うことはしない。
例えるなら、服飾史において価値があり、観賞の楽しみがあったとしても、ヴィクトリア朝のS字ラインのドレスで街中にでたら、やっぱり仮装になってしまうような感じ。
匂いは目には見えないので、そこまでではないとしても、香りを装う時には、そのような用心をしている。流行を追うというよりも、現代とのフィット感。
だからクラシックの名香は、ムエットにつけて"香りを観賞する"ことがいつものこと。
STAYHOMEの最中、思い立って、クラシックのコレクションの一つを、普段はしないのに、手首に、一ふき、香りを纏わせてみた。
古い時代の、昔の人の、香り、やはり、良い香りだった。
けれど、やがてその感覚の一部には、フィルターがかかっていたと、しばらくしてから、はっとした。
その香水がリリースされた年や、その頃を反映するパッケージやボトルデザインや、経年で多少アルコールが揮発していることや、最近の香りのトレンドとの比較や。。。
そういうフィルター越しで香りをみていたから、真っ先に"ふるきよき時代の"という印象を持ったのだ。
でも今はSTAYHome。
当たり前のことを思い出して、あらためて香りをかいでみる。
とても緻密な、目のつまった織物のような、隙のなさ、優しさと勢い、少しだけの官能。
古い新しいではなく、香りのヴィジョンがそのまま伝わってきた。
「これを選んで身につける人に、素敵になってほしい」、そういうメッセージが、ふわっと、伝わってきた。
香りの原点。
自分の気持ちが何かしら素敵なもの、こと、に向かうために、香りを使う。
香りは、嗜好性が高いので外出するときにはどうしても、マナーを考慮する。マナーは、不特定多数、またはTPOが定まった集団において、互いに必要な慎みであると思う。だから、香水使いは、極めて密やかに控えめに、ということを、個人的には注意してる。
で、
STAYHOMEって言うのは、
香水と裸の付き合い笑、
ができる時間。
美術館でガラス越しに眺めていた作品を自分使いする感覚。柿右衛門でコーヒー飲むとか、黄金の玉座に腰かけて読書とか、、、そんな発見を思いがけずしたSTAYHOMEだった。