澄んだ空の青と古代地中海の世界 9月7日~365日の香水
空の色、さまざま
空の青と言ったらどんな色を思い浮かべるだろうか。
スカイブルーは雲一つない晴天の空の青。もう少し暦が進んだら見ることができるインディアンサマーや小春日和の空の色だろうか。
海と空が溶け合った少し緑がかった空はターコイズブルー。
コバルトブルーというと、都会の夕暮れのイメージ。
私のサロンのベースに「令空~れいくう」というものがある。
これは、雨上がりの空のうっすらグリーンとグレイが残りながら晴れてきた青みを帯びた空の色をイメージしている。
(令和に年号が改まった記念のパレードの雨の上がった美しい空から。)
地中海の空
アズレーブルー、これはスカイブルーと同じ晴天、空高い青になるけれど、もう少し鮮やかで深い青のようだ。
地中海沿岸部の、晴れた空はアズレーブルーになるという。
グラースのジャスミンも、五月のバラも、みんなこのアズールブルー(azure blue)を見上げて咲いていたのか。
和名は各々あり、ターコイズは浅葱、コバルトブルーは霞草色、そしてアズールブルーは薄荷色、植物からとられた名だ。
一度、名仏のモンペリエを訪れたけれど、まだ三月なのに陽光がまぶしく、輝くような空色、アズールブルーよりも少し薄い色合いの記憶だけれど、やはりどこでも見たことのない空の色ではあった。
モンペリエの広場に三美神の像があって、高い空に向かって女神たちのオーラが共鳴をしていたような印象だった。
Azuree/estee lauder/1969
アルデハイドとスパイスの立ち上がるトップノート、そしれレザー、タバック、シプレーが見事なバランスで濃厚に、奥深さをたたえながら持続していく。
空の青だけでなく、古代の地中海世界の豊かで洗練された文明を表しているような香り。
珍しく、エスティーローダーの香水なのにフランス語のネーミングなのも面白い。
レザーアコードの姉妹?
調香師はベルナール・シャン(Bernard chant)、エスティローダーの香水では365日シリーズで扱ったものだとシナバー(cinnabar)やアリアージ(alliage)も手掛けている。しかし、何といってもグレのカボシャール(Cabochard/gres)のインパクトが大きい。
ベルナールはレザーノートをどのように香水の中で活かすか、研究をしてたらしく、その一つの解がカボシャールだった。これは1959年のこと。
その成果はこのアジュレー(azuree)にも顕著で、カボシャールとアジュレーは10歳違いの姉妹のような関係にも思えてくる。
しかし、カボシャールはマダムグレの強情の逸話の生まれた街、パリを想起させるのに対し、アジュレーは地中海。時代も前者は1940年代初め、後者はBC2~3世紀、意外と隔たりのある姉妹かもしれない。
香り、思い、呼吸
9月7日がお誕生日の方、記念日の方おめでとうございます。
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