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スイス[11] 欧州の鉄道(4)無愛想ICE編【下】


202202180914スイス[11] 欧州の鉄道(4)無愛想ICE編【下】 A.J.

 結局,私が乗っていたICEにはドイツ税関吏は私が降りる予定の駅である Basel SBB(バーゼルSBB駅)に着く直前まで一人として乗り込んで来なかった。このままではフランクフルトで購入した品物の免税書類にハンコがもらえない。ええい,仕方がない。という訳で私は Basel SBB の一つ手前の駅であるBasel Bad Bf(バーゼル・バーデン駅)で降りることになった。

 国際空港では必ず税関署があり手荷物に課税する物がないかあるいは輸入禁制品がないかチェックする。しかし鉄道での越境では少なくとも近年では国際列車内で税関吏をみたことがない(私の経験では下記の一例だけは目撃している)。
 陸路だと周囲のEU国から自動車を使い高速道路でスイスに入国しようとすると大抵税関検査(申告するものがあるかどうかを聞かれる)がある。これはドイツ・スイス国境やジュネーブ近郊のフランスとの国境で私が経験している。
 また国境の鉄道駅には税関事務所があることも多い(*1)。Chiasso(キアッソ駅,スイス・イタリア国境)の近くには自動車のための国境検問所があり税関吏はいる。だからミラノで高い買い物をして免税書類にハンコが欲しければ,キアッソ駅で一旦降りて駅のそばのイタリア税関署の係官にハンコをもえば良い。スイス・イタリア国境に近い駅で言えば,Chiasso の他に Domodossola(イタリア・ドモドッソラ駅)でもイタリア税関の事務所を見かけた。

 気のせいかも知れないけれど,スイスと周りのEU国との国境ではスイス税関吏は見てもEU国の税関吏(税関署ではなくて実際の係官)がうろちょろしているのはあまり見かけない。スイスの方がスイスに輸入される物に課税したいのが本音なんだろうか? 周りのEU国の方が商品が(多くの商品で)安いからなぁ。
 以前,国際列車に乗り込むスイス税関吏を一度だけ見たことがある。オーストリアのどこかの駅から出た Zürich HB(スイス・チューリヒ駅)行きのÖBB(オーストリア連邦鉄道)の特急列車 Rail Jet が駅で停車中に検査をしていた。国境駅であるBuchs SG(スイス・ブフス)駅でのことで,この駅の乗客待合室の隣にスイス税関の事務所があって,そこからいかつい制服を着た税関吏が数人で列車に乗り込み,すぐに降りて来たのを覚えている。
 国境駅には税関事務所はあるが実際にEU各国の税関吏が列車に乗り込んで検査する,というのはあまりないのかも知れない。

 冒頭,なぜ私が本来の降車駅である Basel SBB で降りずにその一つ手前の Basel Bad Bf で降りたか,というとその駅にドイツ税関の事務所があったからである。逆に言うとスイスの駅である Basel SBB にはドイツ税関はいないのである。えっちらおっちら重たい荷物を持ってホームを歩き階段を降りコンコース(というか薄暗い廊下)の便所脇にあったドイツ税関を見つけてやっとこさ免税書類にハンコをもらいました。
 その後も実は苦難の旅路があって,たった5分か10分の隣の駅なのに Basel Bad Bf から Basel SBB まで行く後続の列車がなかなか来なくて寒いホームで1時間以上待ってやっと来た次の列車に乗り Basel SBB にたどり着きました。その日のスイス人の友人との夕食の待ち合わせにはどうにか間に合いましたがギリギリでしたが Basel SBB からは快適快適小一時間のスイス鉄道旅行で彼の家に無事に着きました。

 DB(ドイツ国鉄),あまり好きになれない…

(欧州の鉄道 無愛想ICE編 終わり)

(*1)自分で全部の国境駅を確認したわけではないので念のため


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