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スイス[64] 大人と子供の境界線

202409111334 A.J. スイス[64] 大人と子供の境界線

 ずいぶん前にスイス・ベルンに行った時のことです。友人のQ博士(スイス人)と2人でベルンにある彼の親戚の家にお邪魔しました。
 その親戚の人たちとは初めてお会いしたのですが私にも夕食をご馳走してくれました。つまりQ博士夫妻,その弟夫妻とそのお子さん2人(兄弟)と私とで食卓を一つにして夕食を食べた訳です。食事はとても美味しかったのですが今回はその話ではありません。

 最初のうちは私と他の皆さんとは英語で話をしていたのですが,だんだん他の人たちがスイスドイツ語で『けんけんがくがく(漢字が出てこん!)』で何か論議し始めてしまい,私には何が何だかさっぱりわからなくなってしまいました。何せ私はスイスドイツ語は全然わかりません。
 いや決して私が嫌われたのではないのですが,後でQ博士に聞いたところ「『スイスの難民あるいは移民受け入れ問題』で議論が白熱した」とのことでした。Q博士は「すまなかったなぁ,話し込んじゃって」と夕食後に言ってくれたのですがそれについても私は特に悪い気もしていませんでした。

 さてそこで気になったことはそれとは全く異なることです。先にその食卓にはお子さんが2人いた,と記しました。テーブルの端っこの方に2人が座っていたのですが,食事のメニューは大人たちと一緒でも【大人の会話には一切入らなかったのです】。
 大人たちがその難民・移民問題で議論が熱くなっても同席しているはずの2人の子供とは会話しませんでした。子供と言っても(後で分かったことなのですが)2人は日本の中高生世代,15,16歳だったのです。それでも大人の会話には入らない,あるいは入れない状態でした。
 そうこうしているうちに子供たちは席を外してどこかに行ってしまいました。

 私は大人たちの(スイスドイツ語の)会話がわからないということもあって,一通り食事を済ました後席を外し,彼ら子供たちがどこに行ったのか,と家の周りを探してみると,近くの広場で兄弟仲良く,しかしつまらなそうにバスケットボールをしていました。こちらはこちらで夕食の席にいてもちんぷんかんぷんでしたから,その兄弟と私とでしばらく(英語で)お話ししたりこちらの下手なバスケに付き合ってもらいました。
 私がスイスドイツ語がわからず大人たちの議論に参加できなかったことを察してくれた兄弟は私に易しい英語で会話をしてくれて,たわいもない話題ながら楽しく小一時間を過ごすことができました。

 ちなみにその後はお家の庭で皆で(当然子供たちも含めて)バーベキューをしてくれたりして一家・親戚揃って十分に楽しく過ごせたことは記しておかねばなりません。
 ただ,そのご家族だけの問題なのかそれともスイス(あるいは欧州)基準なのかはわかりませんが,子供と大人の境界線が厳然とあるような気がしました。若い高校生でも難民問題には意見を持っていると思うのですが話題には入れてもらえなかったのでしょうか…

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