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スイス[16] スイス人は職務に忠実?

202202251125スイス[16] スイス人は職務に忠実? A. J.

 スイスの鉄道ではSBB(スイス連邦鉄道,スイスの事実上の国鉄)だけではなく私鉄でも女性車掌をよく見ます。別に女性だからと言って良い悪いを述べているわけではありません。昨今ジェンダー(*1)の話題に関しては慎重にしかし進歩的に議論すべきですが,ここでは単にスイスでは女性車掌を多く見かけるというだけの話です。そういえば別にスイスだけではなく隣の国のフランス国鉄SNCFの列車でも女性車掌を見ますし,日本のJRや私鉄でも最近は(私が子供の頃に比べると)女性比率が多くなったように思います。
 SBBに乗った限りでは車掌が女性だろうが男性だろうが乗客対応に違いがあるとは思えませんでした。それよりもSBBの車掌の働きを見ると他の国の列車より職務に関してより誠実である気がします。ただしいつもいうようにこれはちゃんと調査した訳ではなく私的に感じただけであって明確な根拠はありません。

 これは私の経験上の話ですが車掌の彼ら彼女らに列車に関する情報をたずねるときちんと答えてくれるという気がします。別にドイツやオーストリアの列車車掌がいい加減だと言っているのではありません。でもSBBなどのスイスの列車車掌はたくさんの情報を持っていて何か質問をすると的確かつ丁寧に答えてくれることが多いと思います。

 こんなことがありました。
 ジュネーブ(Genève)に滞在した後,フランス・パリに向かうことになりました。ジュネーブ駅からはパリまで直接向かうTGVもありますが,その時は一旦ジュネーブ駅からローザンヌ駅(Lausanne)までSBBで行き,ローザンヌ駅始発のパリ・リヨン駅行きTGV(*2)に乗ることにしました。
 TGVの出発時刻はわかっています。TGVは全車指定席ですので事前に(乗車前に必ず)指定席切符を購入する必要があるからです。実はTGVの切符はスマートフォンのアプリから購入することも出来るのですが,その時はSBBジュネーブ駅の窓口で紙切符を購入していました。
 ジュネーブ駅から列車に乗ったもののローザンヌ駅でTGVに乗るその乗り換え時間はギリギリでした。しかもローザンヌ駅は私は過去に降りたことがなく不案内です。事前にわかっていれば嬉しい,TGVは何番線から出発するのか?
 そこで(ローザンヌに向かって走る列車内で)乗務しているSBBの車掌に
「ローザンヌ駅でパリ行きのTGVに乗り換えるのだが,TGVは何番線からの発車でしょうか?」
とたずねました。女性車掌は
「少しお待ちを」
と言いながら車掌手持ちの情報端末で調べ始めました。しかしなかなか情報が出て来ないのか
「わかりませんねぇ…」
とかつぶやいています。私は
「Never mind,自分で駅の表示盤を見ますよ」
と言いかけたのですが彼女は
「いや,きちんと調べます」
と言ってその場を一旦去って行きました。
 10分くらいしてからでしょうか,彼女が戻って来て
「5番線です」
と適切な答えを持ってきてくれました。

 この一つの例をもってスイスの列車車掌は職務に忠実だ,とかスイス人は勤勉だと決めつけてはいけません。私自身は車掌の対応で不快に思ったことはありませんが,(少し)いい加減な車掌を見たこともない訳ではありません。しかし鉄道の係員としてのスイスの車掌たちは日本と同じくらい誠実だとは思います。

(*1)
https://japan.unwomen.org/ja/news-and-events/news/2018/9/definition-gender

(*2)
SNCFとSBBの共同運行便。列車自体はTGVの車両。

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