「フィストダイバー」 by 幻灯劇場
つい考えてしまう。
「主題はなに?作者は何を思ってるの?」と。
ドラマを見ても 繋ぐ主題が全然見えず散乱する妄想ばかりだったり、歌にいたっては ナニ語?ってくらい意図を汲み取れない そんな作品が増えたように感じる。
イマドキは 主題なんてものは
「作者の言いたかったことは何ですか?」教育の遺物でしかないのかもしれないね。
だから感想なんて書くのはおこがましいかも……. だけど "鬱憤" や "0番地" の感想を見ると 観た瞬間の感情が蘇る。
だから書きます。
自分の (((ボロい))) 記憶のために。 ---------以下 ネタバレあります
フィストダイバー
フライヤーのコピーにはこう書かれている。
' 叩いても つねっても 痛くない!! だからここは夢!! '
痛みを失った人々が登場する。
記憶障害のパンチドランカー 子を交通事故で失った母
クレーム処理のコールセンター労働者。
肉体的な痛みとして表現されるが 心理的な痛みのメタファーでしょう。
他者から攻撃される痛み 大切なものを奪われる痛み ストレスを堪える痛み 痛みに対して鈍感にならざるを得ない社会。
ある程度の痛みなら我慢は必要、ある程度ってどのくらい?
シホンシュギが 金払ってるんだから!と言うから、
平気でとんでもない文句を放つ顧客至上主義者たち。
そこは、我慢しろよ…..
見てごらん「金もらってるんだから」その文句を受け止め続ける労働者は耳から血を流してるじゃないか。
その痛みとうまく折り合えない者が暴力に走るよ?
痛みに耐えすぎて すっかり脳がイカれちゃった相方に、自分を取り戻してほしいと画策する飼育員。
それほどまでに優しい人でも、母を失った "ニシムラカオリ" の根源的な痛みをどうすることもできない。
一生忘れられない不条理な痛みって怨嗟となって地上を漂い続けるのでしょうか….
延々とつづく紛争の根っこを重ねちゃったりしながら 彼女の声を聴きました。
あの痛みをいったいどのようにしたら鎮めることができるのだろうね…
<<蛇足>>
三度目ながら、構成の上手さ 身体表現や舞台美術の的確さ 美声!に唸らされる幻灯劇場。
「高校の演劇部が母体」というのでどんな高校??と検索してみたら、ああ あそこか!とわかるほどに子供の頃に住んだ場所の近くの学校。
演劇科があるのですね。
演劇教育というものの存在を知ったのは 平田オリザ『わかりあえないことから』だった。新刊のときに読んだから12年前だ…..
意識の片隅にいた演劇を見るきっかけをくれたのがグレショー、そのグレショーが 連れてきてくれた劇団が 子供時代の住まいの近くから生まれていることが、なんとなく勝手に嬉しいです。