舞台『ある閉ざされた雪の山荘で」
原作は東野圭吾。
初版は1992年だそうで 出世作になった『秘密』(1998) や『白夜行』(1999) よりも前 初期の作品だ。
マルチメディア展開はよくあるが 映画と舞台をほぼ同時期に公開するのは面白そう。主演はどちらも関西ジャニーズ出身の WEST. 重岡大毅(映画) 舞台が 室龍太だが、共演者の顔ぶれにも興味を惹かれる。
予習も兼ねて、映画を先に見てから舞台に向かう。
大手町に建ったばかりの三井物産HQ の3階のホール。キャパ700くらい?
劇場というよりは多目的ホールで、客席後ろ半分のひな壇も 椅子も仮設のようだったが、大きめの椅子にゆったりした配置がありがたい。
劇団員が一軒の貸別荘に集められて 3泊4日のオーディションを受けるというお話で、演劇のオーディションという設定は やはり舞台向きなのでしょう。映画版で気になってしまった別荘の調度や食卓に並ぶものなどが、舞台では全く影響がない。
その分を差し引いても、演劇性、というやや非日常的な雰囲気は舞台で一層プラスに働くものだと感じる。
もちろん見比べる楽しさと比べれば、どちらの方がよりフィットしていたかなどは全く問題にならない。 なによりも同じプロットでありながら、キャストの個性が 全然違った肉付けであることを楽しんだ。
主演の久我は 映画では ごく平凡な好青年で役者向きじゃなさそうな人物であったのに対し、舞台では頭の切れ軽やかに事件の真相に切り込んでいく探偵のようであった。
また 舞台版は劇団水滸の団員間の好意のもつれも描かれており、劇団の先輩格である本多の強さが そういうドロドロを抑え込んで成り立ってきたのか?と連想してしまうくらい強いキャラだった。
カーテンコールは室龍太の挨拶。
それまで控えめながらシュッとした探偵っぽさもあった室が、やわらかな関西イントネーションに戻る。この人は やっぱりアイドルですね。
迫力の本多は関西ジャニーズの後輩になるのかな?今江大地、上手かった。
女優陣の中には 朝ドラ『あまちゃん』に出てたと思う 大野イトが 中条あやみ の役をつとめていて、こちらは映画よりもキャピキャピなキャラ設定。
映画と舞台 2往復くらいできたらな?と思うのでした。
それにしても2時間20分 ノンストップで、音楽やダンスがない分、台詞の分量も多い。 舞台上方からずっとミストが噴き出して加湿されていたようだが、喉にも負担でしょう。無事の完走を祈ります!