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飯田弁に見る飯田人の流儀

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飯田弁に見る飯田人の流儀

はじめに

 令和元年(2019)9月8日より、南信州新聞に「飯田弁に見る飯田人の流儀」と題して、飯田地方の方言に関する私見を連載中です。それらのうちの一部を、転載してみます。ご意見・ご感想・ご教示などいただければ嬉しく思います。

   

いのちながければはじ多し(1)

 中国の昔のオハナシである。聖人君王として高名だった堯が、華の国へ巡行したときのこと、土地の関守の役人が堯の前に出て来てうやうやしく挨拶した。
 「聖人さま、謹んでお祝いし、お祈りいたします。まずはあなたさまのご寿命のいつまでも久しくあらんことを」
 「いやいや、私は寿命の長きことなどは望まぬ」
 「えッ、さようでございますか? ……、それならば富の豊かにあられますようにお祈り申し上げます」
 「

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