足立裕志が「2020下半期、OPECの原油需要の回復予測」について考察
足立裕志が「2020下半期、OPECの原油需要の回復予測」について考察します。
OPECは17日発表の月報で、2020年7~12月(下半期)の世界における原油需要は前年同期に比べ、日量640万バレルの減少に留まるとの見通しを明らかにしました。原油需要見通しの下方修正は行っていません。
またOPECは、需要の回復や協調減産による効果で市場が均衡化しても、最大の消費国である米国を巡る下方リスクに含め、協調減産に参加していない国の産油量が想定より約30万バレル多くなると予想しており、本年度中の供給過多が解消されることはないとの見方も示しています。
産油国のみならず世界経済の頭上には、これまでにない大きさ、厚さの暗雲が立ち込めています。
原油価格が急落した9日の東京市場ではソフトバンクグループの株価が急落し、一時、下落率が11%を超えました。理由は解明されていませんが、サウジアラビアの政府系ファンドがソフトバンクグループの投資ファンドから資金を引き揚げようとしているのではないかとの巷語が飛び交いました。
それだけ今日では、オイルマネーの動向に過敏になっている人が少なくないということでしょう。
中南米でのコロナウイルス感染拡大が影響し未だ原油価格の上昇率は低く、OPECプラスは17〜18日に合同閣僚監視委員会(JMMC)会合と閣僚会議を開いて協調減産の効果などを検証するとしています。
消費国である私達日本人にとって原油安はメリットが高いように感じられますが、それはあくまでも短期的な話。
元来、経済が安定している状態では原油価格もそれに伴い上昇するものです。
世界経済の逼迫は、今日の日本経済にとって決して対岸の火事とは言い難いですよね。
国際エネルギー機関(IEA)の発表によれば石油需要がコロナ前の水準に回復するのは2022年以降。
医療問題だけではない、未曾有の災い・コロナショックの本当の意味での収束はいつになるのか、今後の世界の動向には慎重に向き合って行く必要がありそうですね。