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いつか小説を書くこと、誰かを幸せにすることが夢です。

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マガジン

  • 拝啓、いつかの私へ

    いつか小説を書きたいと思っていました。 大学生最後の夏に何かを遺して秋を迎えようと思い、初めて物語を書いてみました。 たとえ多くの人に読まれることが無くても、いつかこの物語がどこかの誰かに響けばいいなと思います。

  • 言語学の話

    言語学に関する話を書いていきます。基本的に自分が学んだことや思いついたことのメモみたいな感じなので、軽い気持ちで読んでもらえればと思います。 記事の内容について誤りがあれば、コメント等でご教授いただけると幸いです。

最近の記事

#92

ワンワン! 夏休みが明けた頃から研究のスイッチが入りっぱなしになりまして。 名前は出しませんが、Twitterの方も数人の言語学者や大学院生の方々にフォローしていただけて大変嬉しく思います。 年齢も年齢なので、学部を出た後の進路というか生き方を色々と考える今日この頃です。 教採にも無事合格をいただき とりあえず当面の動きは明確になったのでそれほどモヤモヤしている訳でもありませんが、ここ1ヶ月ほど常に進路と研究のことを考え続けて、頭痛が1週間ほど治まらなくなってしまったので

    • 拝啓、いつかの私へ #9

      私は心の中にある全ての思いを隠し、大学3年の前期を過ごした。 琥乃美や歩実からあの男とどうなったのかを聞かれることもあったが、「なんか別の人とくっつくことになったらしくてさ〜」とはぐらかした。 「他にマッチングしてた人もいなかったからアプリも辞めちゃった」とそれっぽい理由を付けて、私は自分が手をつけたものを1つ1つ終わらせていった。 前期を終え、夏休みに入った。 琥乃美も歩実も地方の実家に長期間帰省するため、夏休み中に会うことは無い。 コノエのアルバイトも、徐々にシフトを

      • 拝啓、いつかの私へ #8

        ビルから出て、陽向は最寄り駅から帰りの電車に乗る。改札にICカードをかざす手は震えていた。 恐怖とも怒りとも悲しみとも形容しがたい感情が、陽向の中で渦巻いていた。 「あの俳優結婚したらしいよ」 「またこのYouTuber炎上してるよ」 「おばぁちゃん良かったらこの席座ってください」 「お出口は右側です。開くドアにご注意ください。」 いつもは雑音として捉えていた周囲の音が、なぜか今日に限ってとても明瞭に聞こえる。 絶望に打ちのめされた自分とは対照的に、いつもと変わらずに繰り広

        • 拝啓、いつかの私へ #7

          ひなたさんと知り合ってから半年が経った。 季節は春を迎えた。 陽向は大学3年生になり、21歳の誕生日も迎えた。 陽向は他の男性とマッチングすることは結局無かったため、アプリではひなたさんとほとんど毎日連絡をとっていた。 ひなたさんの方はどうやら他にも数人の女性とマッチングしているらしく、(よくそんなにたくさんの人と同時に連絡できるなぁ)と陽向は感心していた。 向こうは恋愛の勉強などではなく出会いを求めてアプリをやっている以上仕方が無いとは思うが、何となく、自分が“ひなたさ

        マガジン

        • 拝啓、いつかの私へ
          9本
        • 言語学の話
          2本

        記事

          拝啓、いつかの私へ #6

          寒さを感じて目を覚ました。 スマホの電源を点けると、6:15という時間とマッチングアプリからの通知が表示された。 陽向は眠い目を擦ってベランダに出た。 肌寒く澄んだ空気 雀の鳴き声 太陽の光が陽向の肌を暖める。 まるで体温のような、優しい温もりの中で陽向は軽く目を閉じて店長の言葉を思い出す。 「自分自身を大切に」 ベッドに戻ってマッチングアプリの通知を確認する。 「初めまして。フォローありがとうございます!読書が趣味なんですね!僕も小説をよく読みます。」 昨日フォローした

          拝啓、いつかの私へ #6

          拝啓、いつかの私へ #5

          「マッチングアプリってこんなに種類あるの…?どれがいいんだろう…」 まるで書店で参考書を選ぶ受験生のように、陽向はスマホとにらめっこをしていた。 恋愛とは何かを学ぶための教材選びでもあるため、まさに受験生のソレだ。 「なんか鮮やかなアイコンで可愛いからこれにするか。」 「女性は無料なのに男性は有料なのか。変なの。」 「登録には身分証明書の写真を送らなければいけないだと?なんか怖いな…」 一人でブツブツ喋りながら陽向はマッチングアプリの初期設定を完了した。 自分の趣味を設定

          拝啓、いつかの私へ #5

          拝啓、いつかの私へ #4

          ルーティン化した日々を淡々と過ごし、陽向は大学2年生の秋を迎えた。 決まりきった毎日の中に、2つの変化が起きた。 1つ目の変化は、コノエに留学生のアルバイトがやってきたことだ。 「私の名前はウィマナです。ルワンダ人です。どうもよろしく。」 カタコトの日本語で精一杯自己紹介をした彼は、日本語を勉強しに日本へ留学してきたと店長から聞いた。 私が何よりも驚いたのは異国から突然留学生が来たことよりも、店長が英語を話せるということだった。 「喫茶店始める前は企業で働いてたって聞きま

          拝啓、いつかの私へ #4

          拝啓、いつかの私へ #3

          地元から県をいくつも跨いだこの土地で、土地勘も無い陽向は大学にできるだけ近く、かつできるだけ家賃の安いアパートを探した。 学生街ということもあってか、周りに頼れる人のいない境遇に同情したおばあちゃん大家が、持っているアパートの一室に住まわしてくれることになった。 大家は絵画鑑賞が趣味らしく、『星月荘』という名称もゴッホの『星月夜』に由来するのだろうと陽向は推測した。 「こんだけ歳とると金儲けの欲がどっかにすっ飛んじゃうんだ」こんな調子の大家は、敷金も礼金も要らない、家賃

          拝啓、いつかの私へ #3

          拝啓、いつかの私へ #2

          アラームが鳴った。 白くボヤけた世界から、私の意識は一気に現実に引き戻される。 小学生の頃の夢を見た。 今よりもずっと世界がキラキラしていて、私は何でもできる、何にでもなれるという全能感に満ちた感覚を思い出させてくれる夢だ。 どんなに嫌なことがあっても、それら全てをほんの少しだけの間忘れさせてくれる。 いつからか私は、そんな夢の再上映を期待して眠るようになった。 好きな音楽を流して、私はバイトに出勤する準備を始める。バイト先の喫茶店は自宅から歩いて10分程度の距離にある

          拝啓、いつかの私へ #2

          拝啓、いつかの私へ #1

          魔王を倒して平和になった世界の勇者 閉店した飲食店のスタンプカード 写真アプリに数年前から残っているスクショ かつては必要とされたのに、いつの間にか誰からも必要とされなくなったモノが世界には数多くある。 私だって小学生の頃は両親から大切にされて、学校の先生からも期待されて、自分を価値のある存在だと思っていた。 学校で時々書かされた【いじめ調査アンケート】にも、ずっとポジティブな回答をしてきた。もちろんその回答に嘘は無かった。 だけどどうだろう。 インターホンの前に笑顔で

          拝啓、いつかの私へ #1

          #91

          「夏よ終わるな」とは言えないけど べらぼうに暑い日が続いておりますがいかがお過ごしでしょうか。 僕はというと、偶然僕のnoteを読んだ姉から「あなたの文章は小説を読んでるみたいにスーッと読める」というなかなかの評価をいただくなどしました。何より「小説みたい」というのは僕にとってものすごく嬉しい褒め言葉です。 人とコミュニケーションを取るのが苦手(距離感を間違えがち)であることや、話にまとまりが無いことなど、教員を目指す上で致命的な短所を何とかしなければという思いもあって

          #90

          悪夢と夢 -なぜ教師になりたいのか-ここ3〜4日間、毎日同じ夢を見ます。 気がつくと教員採用試験の試験会場らしき場所にいて、教室に入ると強面な女性の面接官が座っています。席に座ると突然面接が始まり、意味が分からないながらも自分は精一杯質問に答えます。 面接官からは答える度に「そんなんじゃダメだよあなた」「こんな人を雇う側の気持ちにもなってみてよ」のような、なかなかキツイことを言われます。そんな夢です。 たぶん、二次試験のプレッシャーを自分なりに何となく感じているんだろうな

          #89

          光露バイト先が地元のショッピングモールにあるたこ焼き屋さんなのですが、土日のお昼時や平日の夕方になると家族連れが多く来店します。 この前、花火がいっぱい入った花火セット(?)を持った家族連れが来店しました。 個人的にはこれを花束と呼んだりしているわけですが、これを大事そうに抱えている小さい子を見てちょっとだけ考えたことを書いていこうと思います。 最後に花火を見たのは高校2年生の夏祭りでした。その次の年はコロナで軒並み花火が中止になり、あれから5~6年間花火を観るorする

          #88

          死ぬまでにやりたいこと5選大学生活も少しづつ終わりに向かい、この先の生き方を色々と考える日が増えた。友達ともそういう話をすることが増えた。 別に希死念慮があるとかそういう訳ではないが、死ぬまでにやりたいことリストを作っておくことは何となくいつか苦しい時に自分を救ってくれそうな気がしている。 どれだけ辛いことがあっても「これをやるまでは生き続けなければ」と、このリストがいつかある種の延命治療的な効果を発揮することを期待して色々と書いてみる。 1. 日本中を一人旅する 大

          #87

          大切にしたいこと教育実習が終わりました。 深夜2時に寝て朝5時に起きる毎日でしたが、たくさんの先生方や生徒たちに支えられて、最後まで楽しくやりきれました。 教採の一次試験も終わり、少しずつ落ち着いてきたのでnoteも再会していこうと思います。久しぶりの今回は短めに。 本当にありがたいことに、実習の最終日にはクラスのみんなからのメッセージが書かれた色紙やお手紙、ペーパーフラワーの花束などたくさんのプレゼントを生徒たちからいただきました。 これらは全部自宅に大切に飾って、その

          #86

          なんかこう、毎日寝る前とかにその日のメンタルとかあったことを報告させてくれる人が欲しい。 ならこのnoteに書けば良いじゃないかと思われるだろうが、それは少し違う気がする。 このnoteは誰かに向けて書いているわけではなくて、容量の少ない自分の頭の中を言語化して整理するために、つまり自分のために自分に向けて書いている。 どこまで行ってもこの文章の射程は結局自分でしかない。 今自分はこういう孤独な内省ではなくて、もっと温かみのあるコミュニケーションを求めているような気がする