頑張りすぎて食いしばっていませんか?
食いしばりとは歯を強く噛みしめる癖のことです。
クレンチング症候群とも呼ばれます。
クレンチング症候群は、歯やその周辺だけでなく、それ以外の部分にまで痛みなどの症状が表れる場合もあります。
ストレスが原因になることが多い
食いしばりは、強いストレスや緊張が原因といわれています。
ストレスから顎の筋肉が緊張して歯に過度な圧力がかかることにより、食いしばりにつながるのです。
また、ストレスを緩和させるために無意識に歯を食いしばってしまうという見方もあります。
食いしばりが続いて歯に長時間圧力がかかると、さまざまな症状が出てしまうので注意が必要です。
しかし、食いしばりは寝ている間や何かに集中している時などの無意識な時に起こりやすいので、自分では気づきにくいかもしれません。
通常、口を自然な状態で閉じていると上下の歯が当たることはなく、上下の歯の間が2mm程度開くのが理想的です。
ふと気づくと上下の歯が当たっているなど、食いしばりの疑いがある時には、早めに歯科医院さんに相談してみたり、顔の表情筋を緩めてみましょう。
食いしばりによって起こること
・歯や歯の詰めものの欠け、割れ
→食事で歯にかかる圧力は約50kg前後。
一方、食いしばりの際には瞬間的に約200kgもの圧力がかかるといわれています。
これが原因で歯や歯の詰めものが損傷してしまうことがあります。
また、歯根まで割れる場合も…。
・歯の揺れ
→食いしばりは、歯を支えるはたらきをしている歯槽骨(しそうこつ)に過剰な負担を与えます。
歯槽骨が擦り減ってしまった結果、歯を支えられなくなり、揺れにつながるのです。
・歯周病、歯肉炎
→食いしばりの圧力が歯だけでなく歯周組織にも加わると、歯ぐきに炎症が起きてしまって、歯周組織が破壊されることもあります。
そこから、歯周病を発症するケースもあるようです。
・顎関節症
→食いしばりの圧力が顎にかかった場合、顎関節症になることもあります。
顎関節症になると、顎の関節やその周辺に痛みを感じたり、口の開きが制限されたりするなどの症状がでます。
食いしばりは口周りだけでなく、全身にも影響がでます。
・頭痛、顔面痛、肩こり
→食いしばりが続くことで、側頭筋と呼ばれる顎を動かすための筋肉や、顎部分にある咬筋(こうきん)など、さまざまな筋肉が緊張状態になります。
その結果、頭痛や顔面痛、肩こりなどにつながってしまいます。
・腕や肩のしびれ
→肩こりなどの症状が悪化すると、腕や肩にしびれが生じます。
・腰痛
→腰痛の原因の1つに食いしばりがあります。
歯を食いしばることで左右の噛み合わせが歪んでしまい、身体全体のバランスが崩れて腰痛につながります。
・倦怠感
→倦怠感も、食いしばりが原因の可能性があります。
寝ている間に歯を食いしばると全身が疲れてしまい、倦怠感を引き起こすことがあります。
・耳鳴り、めまい
→歯の食いしばりによって噛み合わせに不具合が生じ、耳鳴りやめまいを起こしてしまうこともあります。
チェックしてみましょう
・上と下の歯の噛み合わせ面が擦り減って平らになっている
→食いしばりながら歯ぎしりすると、上下の歯が強く擦り合わされて平らになります。
・歯の外面と歯ぐきの境目部分に、削り取られたような傷(跡)がある
→食いしばりによって歯と歯ぐきの境目に強い力が加わって、境目部分の歯にくさび型の欠損ができます。
・舌のふちに歯型が付いている
→食いしばりによって舌が歯列に押し付けられることが原因です。
・歯に接している頬の内側に白い線ができる
→食いしばると頬の筋肉が収縮し、頬の内側が歯に押し当てられて白い線ができます。
食いしばりがあると、口内だけでなく顎や肩などにも痛みが生じることがあります。
身体の不調の有無もチェックしてみましょう。
・耳の穴から約1cm手前にある顎の関節部分を押すと痛みを感じる
・顎のエラ部分を押すと筋肉に痛みを感じる
・肩が凝っている
・上顎の口蓋中央、または下顎の内側に骨の隆起がある
→食いしばりによる噛む力に耐えようとして、顎の骨が発達、隆起します。
予防
上下の歯の接触を意識して避ける
食いしばりを避けるため、上と下の歯が接触しないように日頃から意識してみましょう。
目につくところに食いしばり注意のメモを貼って、上下の歯が接触していると気がついたらすぐに離すなど、工夫をしてみましょう。
その他、深呼吸をするなど、リラックス状態を心がけることも食いしばり予防になます。
ガムなどを噛む
ストレスを減らすことも食いしばり予防の1つです。
ガムを噛むことでイライラが和らいで、ストレス解消にもなります。
また、血流を良くする効果も期待できます。
寝る時の姿勢や頬杖などの癖、枕の高さに気を付ける
顔を横向きにして寝る、頬杖をつくなどの癖があると、片側の顎に負担がかかります。
これらが癖になっている方は、意識して改善するだけでも、食いしばり予防になるでしょう。
また、枕が高すぎることも首や顎に過剰な負担がかかる原因につながります。
枕が低いと口が開きやすくなるので、食いしばりも予防することができます。