決まったことの結晶化した融合体
形を得た瞬間、
あらゆる選択肢は消滅し、
唯一の現実が現れる。
だが、その形は静的である一方で、
内なる動態を持つ。
決まったものが決して
固定されることなく、
内に無数の流れを抱える。
一度定まった結晶は、
自己の内部で絶えず揺れ動き、
異なる姿を幾重にも隠し持っている。
すべてが確定された瞬間、
時間は静止して、
意識の流れは永遠の氷片となる。
その氷片はただの冷たさではなく、
無限の可能性を孕んだ結晶体。
決定という名の刃は、
可能性の海を切り裂き、形を与える。
それは単なる終焉ではなく、
新たな誕生の幕開けでもある。
決まったことの融合体は、
もはや一つのことではなく、
無限の側面を持つ多面体である。
その表面は固く冷たく、
触れる者を拒むかのように見えるが、
その内部には深淵な炎が燃えている。
すべてが確定された後に残るのは、
選ばれなかった道の亡霊たち。
だが、それらの亡霊は
完全に消滅するわけではなく、
決定の結晶内で微かに反響し続ける。
選択の重みが刻まれたその結晶は、
同時に過去と未来を飲み込み、
静寂と動乱を内包する。
決まったことの背後に広がるのは、
決まらなかった無限の可能性。
融合体として形を成したその瞬間にも、
選択の余韻が微細に揺れ動く。
確定された現実の境界を、
私たちは無意識のうちに滑り降りる。
だが、その決定の中にすら、
また新たな選択肢が隠されている。
すべてが決まったかに見える中で、
その結晶は常に再び溶解し、
また新たな形を取ろうとする。
それは最終的な定義ではなく、
無限の形をとり続ける、
果てしなきプロセスの一側面にすぎない。
曖昧な空間を漂う可能性たちは、
目には見えない影のように、
確定しないまま宙を舞っている。
何かが「決まる」とは、
その無限に広がる可能性の流れの中で、
瞬間的にひとつの形が選ばれること。
だが、その選択は、
あたかも風に巻かれた塵のように、
時の波にさらわれる。
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