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1日10分の免疫学(9)自然免疫の後半4

本「血中を巡回している主要なリンパ球3種類B細胞、T細胞、NK細胞
大林「B細胞とT細胞は免疫反応の後期(獲得免疫)で、NK細胞は初期(自然免疫)!」
本「B細胞とT細胞は、必要な時だけ分裂する小型休止リンパ球
大林「休止リンパ球!かわいい」
本「一方、NK細胞大型活動的なリンパ球。自然免疫において2つの機能を担う」
大林「1つは感染細胞を殺すことでしょ…もう1つは?」
本「感染組織で炎症状態を維持、増強させること」
大林「そんなことやってたの?!」
本「あなた漫画で描いてたでしょ…マクロファージとの関係」

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大林「あああ!これな!↑↑お互いに増強しあってた!あれ、免疫学的には炎症状態の維持増強なのか!」

本「ちなみに。NK細胞を定義する唯一のマーカーは存在しない
大林「つまり、NK細胞だと見分けるための特徴がない?」
本「NK細胞だけに発現するタンパク質も受容体もなく、ただ、機能的に細胞傷害性T細胞(CTL、キラーT細胞、Tc細胞)に似ているので、T細胞特有のCD3を持たない細胞がNK細胞だと定義されている」
大林「えぇ……じゃあ、キラーしてる細胞を見つけたはCD3の有無でNKかCTLかを見分けてるってことか」

本「NK細胞をもたない免疫不全の患者はヘルペスウイルスに対して適応免疫が整うまで抗ウイルス剤の持続的投与が必要」
大林「初期の増殖をNKが抑えられないからか」
本「これはNK細胞による自然免疫応答が、T細胞による適応免疫応答協調的に働いていることを示す」
大林「萌える」
本「NK細胞は血中に多く存在し、リンパ球の5~25%を占める。組織に存在することもある」
大林「え、組織にもいるの?」
本「血中NK細胞の多くはCD56弱陽性NKで、より強力な細胞傷害性がある。組織NKはこれが逆転し、CD56陽性NKが大半を占める」
大林「???」
大林「その……CD56糖タンパク質の発現量と細胞傷害能についての違いは一体?」

本は答えてくれなかった!

本「タイプの異なるNK細胞とする説と、分化段階の異なるNK細胞とする説があり、今は後者が有力」
大林「ほぉー、NK細胞の分化って初期は骨髄で起きるけど、後期は二次リンパ組織その他だよね」
本「子宮にいる白血球一番多いのは子宮NK細胞
大林「わっつ?!」
本「子宮NKの役割は、細胞傷害や炎症ではなく、胎児の栄養膜と協力して母体の血管を拡張させること」
大林「な、ナチュラルキラー細胞の意外すぎる一面じゃないですか!!!!」
本「これはあくまで子宮という特殊な環境でのこと。子宮外へ出るとNKの特徴は変化する」
大林「へえええ」
本「これはNK細胞が定住している組織に適応することを示している」
大林「ブラックラグーンのメイドさんみたいだな……(?」

《今回のポイント》
お茶の間の皆様にもメジャーな「ナチュラルキラー細胞」は、
異常細胞を殺すだけではなく、炎症を維持増強する機能も果たしている。
メインは血中にいるが、一部の組織にもいる。
子宮にいる白血球で一番多いのは子宮ナチュラルキラー細胞。
意外な一面!

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