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1日15分の免疫学(110)自己免疫と移植③

本「CD4T細胞は様々なタイプのエフェクター細胞へと分化する」
大林「Th1細胞と,Th2細胞,Th17細胞...いろんなサブセットがあるよね」

◆復習メモ
T細胞自己非自己を認識できる免疫細胞。胸腺Thymusで成熟するためT細胞と呼ばれる。T細胞受容体(TCR:T cell receptor)をもつ。

T細胞の主な種類
CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞(Th1Th2,T17,Tfhなどがある)と制御性T細胞Treg:Regulatory T cellに分かれる)
CD8陽性T細胞細胞傷害性T細胞=キラーT細胞)
※CD分類:細胞の表面にある分子の分類基準。

本「それぞれのサブセットは自然免疫系細胞に異なった影響を与えることで、様々な感染を制御する。同様のパラダイム自己免疫でも起こる」
大林「あ、なるほど」
本「例えば1型糖尿病Th1細胞依存的に引き起こされる」
大林「まさかその『1』じゃないよね……糖尿病の1型は遺伝、2型は生活習慣病だから…」

本「乾癬はTh17細胞依存的である」
大林「乾癬て自己免疫疾患だったのか!」
日本皮膚科学会>皮膚科Q&A>乾癬

https://www.dermatol.or.jp/qa/qa14/q01.html

本「糖尿病のマウスモデルでは、T細胞分化に影響を与えるサイトカインの投与やTh2細胞への分化傾向のあるノックアウトマウスを用いることで発病が抑制された」
大林「おぉ~」
本「しかし治療のためにTh1細胞からTh2細胞にスイッチさせる免疫調節mune modulationは実現できていない」
大林「Th1がTh2にスイッチするとかあったら興奮するわ……」

大林「Th1細胞を止めるなら、均衡関係のTh2細胞を推すより、直でT細胞を抑制するTreg細胞を推す方が早いのでは?」
本「もちろん、エフェクター反応をTreg細胞応答に傾ける研究が進められているよ」

Treg細胞について

本「免疫寛容機構を逃れた自己反応性細胞は、2通り制御を受ける。1つは外因的制御で、Treg細胞が活性化T細胞や抗原提示細胞に作用する」
大林「じゃあ、もう1つは内因的制御?」
本「そう。免疫応答規模持続時間を制限するようリンパ球自身にプログラムされている」
大林「推しに課せられた縛り!萌えるわ~」

本「制御性リンパ球による寛容は、自己寛容と異なり、Treg細胞が認識する抗原とは異なる抗原を認識する自己反応性T細胞を抑制できること」
大林「え?!Tregは、Tregが認識する抗原に反応するT細胞を抑制してるんだと思ってた!どういう仕組みなの???」
本「これは制御性寛容regulatory toleranceと呼ばれる。抗原が同じ組織に存在するか、同じ抗原提示細胞に提示される限り、Treg細胞が様々な自己抗原を認識する自己反応性リンパ球の活性化を抑制できる」
大林「どういう仕組み?全然わからん!適応免疫って特定の抗原に特異的に反応するものじゃん?Tregが認識した抗原以外の自己抗原に反応するリンパ球を制御するってどういうことよ?Tregが敵認定した抗原以外への攻撃を抑え込むってこと?」
本は答えない!!!

nTreg細胞とiTreg細胞について

本「Treg細胞には2種類の存在が実験的に提示されている」
大林「それは知ってる。内在性と誘導性でしょ」
本「胸腺で自己抗原に反応して転写因子FoxP3が発現するようにプログラムされたのがnTreg細胞(naturally occurring regulatory T cell:内在性Treg細胞)。nTreg細胞は、末梢で同じ抗原に出合って活性化すると、組織の自己反応性T細胞がエフェクターに分化するのを阻害する」
大林「その仕組みはわかr……ん?同じ抗原に出会って活性化すると、、、すべての自己反応性T細胞を抑制するってこと?活性化したTregはどうやって他のリンパ球が自己反応性かどうかを見分けてるの???」
本は答えない!!!

本「iTreg細胞(inducible regulatory T cell:誘導性Treg細胞)は、FoxP3を発現しているが末梢免疫組織で炎症性サイトカインがない環境でTGF-βと抗原に反応してナイーブT細胞から分化する」
大林「2種類あるというのはわかったけど……」

本「経口免疫寛容は食物などの抗原に対して日常的に誘導される。これはiTreg細胞の産生を伴う」
大林「ほぉ…」

FoxP3の重要性

本「FoxP3は、その遺伝子に変異があると重篤全身性自己免疫疾患急速に発症するので、免疫寛容維持に非常に重要であることがわかる」
大林「FoxP3ってなんか響きがかっこいいよね、人体漫画では制御官が持つ銃の名前にしちゃった」

本「多発性硬化症や多腺性自己免疫症候群では、FoxP3+T細胞の数が正常でも抑制能が低下している」
大林「ということは、FoxP3以外にも大事なポイントがあるわけか」

本「Treg細胞自己免疫疾患抑制重要であり、この細胞のさまざまな機能障害により自己免疫が起こりうると考えられる」
大林「ヒューッ!最後の砦!存在感あるよねぇ~」

本「FoxP3+T細胞のみが制御性リンパ球ではなく、腸管組織にはIL-10高産生するFoxP3-Treg細胞がいて、IL-10依存的に炎症性腸疾患IBDを抑制していると考えられている」
大林「ほぉ」

◆復習メモ
サイトカイン(cytokine)
:細胞が分泌する低分子のタンパク質で生理活性物質の総称。細胞間の相互作用に関与する。cyto(細胞)+kine(作動因子※)の造語※kinein:「動く」(ギリシア語)に由来する

サイトカインの種類
①ケモカイン(Chemokine):白血球(免疫細胞の総称)をケモカインの濃度の濃い方へ遊走させる(普段は血流等の流れに乗っている)。
※本によっては、サイトカインとケモカインは別項目となっている

②インターフェロン(Interferon;IFN):感染等に対応するために分泌される糖タンパク質※。ウイルスの細胞内増殖も抑制する(※タンパク質を構成するアミノ酸の一部に糖鎖が結合したもの)

インターロイキン(Interleukin;IL)※見つかった順でナンバリング:リンパ球等が分泌するペプチド・タンパク質。免疫作用を誘導する。

④腫瘍壊死因子(Tumor Necrosis Factor;TNF):その名の通り、腫瘍を壊死させる機能を持つ。

IL-10について
WEB「炎症反応の抑制性サイトカインのIL-10は、さまざまな種類があるT細胞※4の中でも、主に2型ヘルパーT細胞※5(Th2)が産生しますが、NKT細胞や記憶型T細胞、一部の制御性T細胞、1型ヘルパーT細胞(Th1)も産生することが知られています。(略)通常のTh1細胞はIL-10を産生しませんが、沈静化するはずの炎症反応が持続して、慢性的に過剰な抗原刺激を受けた状態では、一部のTh1細胞が本来産生できないサイトカインの産生能を獲得して、IL-10を産生するようになることが知られています」
大林「なにそれ、すっごい萌える展開じゃん…」

本「なお、FoxP3-Treg細胞の発生起源は今のところ不明」
大林「ほぉおおお!研究待ちですね!たのしみ!」

本「ほとんどのリンパ球は、ある条件下で制御機能を持つ」
大林「みたいだねぇ、推しのTregだけだと思ってたのに……ちぇっ」
本「B細胞でさえもマウスの実験で、コラーゲン誘導性関節炎などの自己免疫疾患を抑制できる」
大林「さえもwどうやって抑制するのさ」
本「CD4T細胞と似たやり方でエフェクター増殖や分化を抑制するサイトカインの分泌によるものと考えられている」
大林「ふぅ~ん」

今回はここまで!
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