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1日20分の免疫学(15)リンパ球③

アポトーシスとネクローシスについて

大林「アポトーシスは綺麗な死で、ネクローシスは中身ぶちまける死って覚えてる」
本「アポトーシスapoptosisは、細胞膜は保たれたまま、核クロマチンの濃縮・DNAの分断・核の断片化・細胞の萎縮を伴うような細胞死。最終的には細胞が分断化し細胞膜に包まれた小体(アポトーシス小体)となる」
大林「そしてそれをマクロファージが貪食するわけだ」
本「ネクローシスnecrosisは、細胞の膨化・細胞膜の破壊・小胞体やミトコンドリアの膨化を伴う細胞死。細胞内の酵素や有害物質が細胞外に放出されるので周辺の組織が傷害をうける。細胞内の熱ショック蛋白、ATP、尿酸、HMGB-1などが遊出してくる」

大林「思ってたより色んなものをぶちまけてるな!?」
本「マクロファージは複数のレセプターでそれらに反応して活性化し、炎症物質を放出する」
大林「細胞がぶっ壊れた=何かが起きた、だもんな」
本「アポトーシスではそのようなことが少ない。アポトーシスする細胞は細胞膜内面に存在したホスファチジルセリンを表出するので、それに対するレセプターを持つマクロファージに取り込まれて消化される」
大林「うまくできてるよなぁ」

本「アポトーシを起こした細胞も、マクロファージの処理を受けないと細胞膜の破壊も起きて細胞内容が輸出する(セカンダリー ネクローシス)」
大林「そうなんだ!マクロファージ重要だな!」

レギュラトリーT細胞について

本「T細胞を抑制するT細胞は、抑制 suppression からサプレッサーT細胞あるいは制御 regulation からレギュラトリーT細胞と呼ばれている」
大林「推し!!!免疫界の最後の砦!」
本「他の細胞の働きを抑えるサイトカインを分泌するT細胞(TGF-Bを作るTh3細胞、IL-10を作るTr1細胞など)もその一部とされる」
大林「なんと!!!レギュラトリーは他にもいたのか」

CD4T細胞とCD8T細胞

本「モノクローナル抗体を用いるとリンパ球の表面にあるさまざまの分子が分析できる。成熟T細胞CD4分子を持つものとCD8分子を持つものとに大別される。ヘルパーT細胞は前者に、キラーT細胞の多くは後者に属している」
大林「多く、ということはそうじゃないのもやっぱりいるのか…やばい、この本、詳しいぞ」
本「リンホカインをつくるT細胞は主に前者に属するが、後者に属するものもある」
大林「ヒィ、ややこしくなってきた」

本「CD4T細胞CD45RA分子を持つものはナイーブであり、抗原と反応し活性化されるとCD45RAはCD45ROに変換する」
大林「CD45RA分子は童貞の証か……」
本「CD45RO分子を持つものはメモリーT細胞とされる」
大林「なるほど」

本「CD8T細胞ではCD44分子IL-2レセプターβ鎖を強く表出しているものがメモリーとされる」
大林「覚えきれない」

本「CD4T細胞は、どのリンホカインをつくるかで機能を分担している。IL-2やIFN-γを産生してマクロファージを活性化したり、遅延型アレルギーをおこしたり、CTLの発現を助ける機能を担っているものはTh1細胞
大林「細胞性免疫だね」

本「IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-13を産生し抗体産生を補助するものはTh2細胞Th2細胞ILC2がつくるIL-4、IL-5、IL-13を中心とする反応を2型免疫反応type 2immune response ということがある」
※Group 2 innate lymphoid cell:ILC2:2型自然リンパ球
大林「名前にも2がついてるもんな、これは覚えやすい」

本「TGF-βのみを強く産生するものをTh3細胞IL-10のみを強く産生するものをTr1細胞と呼ぶ。TGF-β、IL-10には免疫抑制作用があり、これらはレギュラトリーとして働く」
大林「制御役がほかにもいたとは……」

本「IL-17を産生するCD4T細胞は…」
大林「Th17細胞だね!1,2とは名前の付け方が違うの何で?」
本「Th1、Th2とは別系列。IL-17は好中球を集めて活性化し、炎症応をもたらす。細菌・真菌の防御にかかわる」
大林「別系統だから命名方法がちがうってことかな」

本「リンパ濾胞でB細胞を補助するものはTfh細胞といい、IL-21を産生する」
大林「濾胞性ヘルパーT細胞T follicular helperだね」

本「Th9細胞もいる。IL-9を主に産生し(L-10も)、マスト細胞を介するアレルギー反応を増強する」
大林「Th9は名前を聞いたことある」

本「Th22細胞は、IL-22のみ産生するCD4T細胞で、皮膚粘膜上皮細胞の維持にかかわっている」
大林「それも名前だけ聞いたことある」

本「これらの亜群の形質・機能には可塑性があり、作用を受けるサイトカインなどで、他のものに移行したり、本来のサイトカイン以外のサイトカインを産生したりするようになる」
大林「それ!!!!ついにきたー!Being描き始めた頃に研究者の方がコメントで教えてくれたやつ~!10年以上待ったよ、ついに市販の本で読める!!詳しく知りたかったんだよ!教えて教えて!」

CD4T細胞は亜種間に相互抑制作用がある

本「Th17細胞IL-12が作用するとTh1細胞に、IL-4が作用するとTh2細胞に移行する」
大林「おわー!なんと!」

本「iTreg(獲得Foxp3レギュラトリーT細胞)にIL-6と23が作用するとTh17 細胞になる」
大林「TregとTh17って仲悪いのにそんな関係だったの?!」

本「Th2細胞TGF-βが作用するとTh9細胞になる。Th1細胞、Th2細胞、Th17細胞IL-27が作用するとIL-10も産生するようになる」
大林「免疫抑制できちゃう!」

本「Th17細胞TGF-βを作用させるとIL-9やTGF-βも産生するようになる。Th2細胞Ⅰ型とⅡ型IFNを作用させるとIL-12レセプターを表出して、IL-12の作用でT-bet も発現してIFN-γ、IL-4の両方を産生するようになる」
大林「T-betってなんだっけ?」
WEB「転写因子T-betはTh1細胞においてI型インターフェロン応答を抑制する」

WEB「Treg細胞サブセットでは安定なT-bet発現が見られることの証拠を示している。T-bet発現それ自体が正常な機能性に絶対的に必要ということではなかったが、T-betを発現するTreg細胞サブセットの維持は病的なTH1応答の抑制必要だった。一方、TH2もしくはTH17が優勢なCD4 T細胞応答の際には抑制に必要ではなかった」

大林「お、おぉ」
本「Th2細胞IL-1β、6、21が作用するとRORγtが発現しIL-4とIL-17とを産生するようになる(Th2/17細胞)」
大林「Th2/17細胞って名前なの?」

本「Th17細胞にIL-12やIL-23が作用するとT-bet が発現しIL-17とIFN-yとを産生するようになり(Th17/1細胞)、さらにTh1細胞に分化する」
大林「たのしいけど頭が追いつかなくなってきた!」

本「Th17細胞はTGF-βの作用と aryl hydrocarbon receptor への刺激が加わるとIL-10を産生するようになる」
大林「結構みんなIL-10つくれるんだね」

本「Th1細胞の作るIFN-γはTh2細胞とTh17細胞への分化を抑えTh2細胞のつくるIL-4はTh1細胞とTh17細胞への分化を抑える。Th17細胞の作る 17AはTh1細胞への分化を抑える」
大林「それそれ!お互いへの分化を抑えるのライバルぽくて面白い」

本「Th17細胞は解糖を阻止するとiTreg 細胞の性質を示すようになる」
大林「なんですと?!」

今回はここまで!
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現在、夏コミの最終準備中。漫画等の更新はもう少々お待ちを……


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