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真夜中の胸痛とT細胞愛好家

23時前に布団に入って、すやすや寝ていたら、
深夜1時過ぎに突然の胸痛。
推しはT細胞と刑法の大林、痛みには滅法弱い、咄嗟の検討会開始。

まず色々な体位を試して痛みの変化を見る

現状把握から始めよう。
どんな痛みかというと難しい、ともかく「胸の痛み目が覚めた」。
無視して寝続けようとしたら喉がつかえたようになり、息が苦しくなりかけたので、これはいかん!と完全覚醒。

まず、痛みと体位の関係を確認。
仰向けで寝ていたので、ひとまず右を下にして横向きになり、身体を伸ばしたり胎児ポーズしたりしてみるが、痛み変わらず。
次に左を下にして同様の体位を試すも、痛み変わらず。

「はぁあああ~~~ん?!どういうことだよこんな深夜に!」

そう、深夜である。
体調不良の緊急性によっては、夜間救急に自ら駆け込むか、119番で担ぎ込まれることになる。

緊急性?それは誰が判断するんだ?

自分だよ!!!!(一人暮らしの自己責任)

慎重に起き上がるも痛み変わらず。
ベッドから立ち上がるも痛み変わらず。

これは体位によって痛みが変わる事例ではないことはわかった。

しびれや手足の感覚、呼吸心拍数等を確認

関係なさそうだけど手の指を動かしてみる、何ら問題ない。
身体の各所を確認、しびれもない。
呼吸も苦しくない。痛みで息は細くなっているが弱々しい深呼吸は可能。
吐き気もない、冷や汗もない、ふらつき目まいもない!
手首にそっとふれて15秒ほど心拍数を確認する。こちらも問題なし。
独り言を早口で言ってみる「何が起きてるのかわかりませんけど胸が痛い!」呂律も正常。

えっ、なにこれ、胸の痛みだけ???

痛みの位置とタイプを確認

胸の真ん中が!痛い!
ちょうどど真ん中である、ど真ん中に何かありましたっけ?
臓器一覧は警察官実務六法の巻末付録にあるが見る気力がない。
兎にも角にも、痛い場所がハッキリわかる。胸のど真ん中!

心臓の痛みを訴える患者は「胸の真ん中が痛いと表現する」と本に書いてたなと思いながら、次に痛みのタイプを検討。

ドクンドクンでも、ズキズキでもなく、ギューッでもない。なんだこれ。ともかく痛い。語彙力は死んだ。
波があるでもなく、同じ程度の痛みが淡々と続いている……
そして今までに経験のない痛みで、突発的な痛みである、ただし我慢できるレベル。

熱を確認

36度4分である。平熱じゃん。

119番ではなく#7199に相談

えっ、なにこれほんとに胸が痛いだけなんだけど。
しかも普通に動ける。
この程度で119番なんか使ってはいけない、こんな元気な救急搬送患者がいてたまるか!(比較的元気に歩いてたけど後程死亡した事例はさておき)
でも自分の知らない何かヤベェ疾患の予兆だったら困る。
視界の端に「診察エッセンシャルズ」があるけど見ないことにした。
あれは素人が自分の症状を確認するために読む本じゃない。

プロに任せよう

まず医療クラスタがおススメしていたQ助アプリを試す。

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胸の突然の痛みを選んだ途端、画面が真っ赤になった。
すぐに救急車を呼べという。
そんな馬鹿な。

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次に#7119に電話をかけた。

……

…………つながらねぇ。

そうだよここは大阪。医療崩壊大阪ナウだよ。

胸痛は続いている。
電話から「混みあっております」的なアナウンスも続いている。
時計を見る、同じ程度の痛みが20分ほど続いている。ほんとなんだこれ。
今のところ痛みが増すことはなく、我慢は可能。
なのにQ助は「胸の突然の痛み」を選んだだけで「すぐに救急車」って言う。
これをどう判断すべきかわからない。

そっと#7199を諦める。
119番に聞いてみよう、「我慢できる痛みなら朝まで我慢しろや」って電話口で言われたら我慢しよう。私には判断できない。。。

結局119番

刑法専攻だからではないが110番は何度も経験がある。
119番だって初めてではない。
だから電話口の担当者が知りたい情報というものをそれなりに知っているつもりだ。
聞かれたことは的確に即答できる自信があった。が。

救急車ですか、消防車ですか
「きゅ、救急です。……すみません、本当に救急車を呼んでいいのか先に7119に相談したかったんですが繋がらなくて」
「救急車ですね」
「その、救急車に来てもらうほどの緊急性があるのかわからなくて」
「こちらは医療従事者がいないので判断はできません。救急車を出すかどうかあなたが決めてください

マジか。

過去に119したときは他人の緊急事態で「救急車早くきてくれプリーズ事案」だったから気づかなかった……

199番は救急車か消防車の出動を要請するための番号であって、症状等を聞かれるのは出動する救急車の隊員等に伝言するためであり、「症状を伝えて救急車案件かどうか」を尋ねることはできないのだ。

さぁどうする。
現時点、20分以上継続しているが我慢できるレベルの痛み。
しかも他に自覚症状がない。
こんなので救急車様をお呼びしていいのか?
でもQ助は「救急車」って……
早く決めないと、救急の回線の一つを私が抑えてしまっている。

「今ならすぐに救急車出せますが?」
そんな、今なら在庫ありますよみたいな。

だが、電話口の担当者からしたら「こっちは119番だぞ早く決めろや」だろう。苦しいけど救急車呼んでいいのかわからないとか言われてもそりゃ困るわ。
「あ……じゃ、じゃあ、もし痛みが増して通話できない状態になったら取り返しがつかないので、救急車をお願いします!」

今思い返しても言い訳がましい出動要請。申し訳ない。
それから症状と住所を伝え、通話が終わる。

救急車が来る前に

通話を終えて、5秒ほどうろたえた。救急車が来ちゃう。。。
でも、この痛みがいつまで続くのか、突然悪化したりするのか、
そんなもん素人にわかるわけないからこの際開き直ることにした。
Q助だって「救急車呼べ」って言ってるし!(責任転嫁)

最寄りの消防署からすぐ出動してくれるなら5分もかからない。
急いで小さな鞄に保険証、1万1千円入れた財布を突っ込み、念のため歯列矯正のマウスピースは外す。

服はどうする?
パジャマで行ったらパジャマで帰ってくるんだぞ?
ドラマとかだと救急搬送→入院or死だけど、
現実には「診察終わったから自力で帰れ」がある!
でも救急搬送されたらすぐにガバッてなるじゃん、前開きのパジャマのままの方がむしろ救急的には都合がよいのでは?事故じゃないからジョキジョキはないだろうけど、何かの処置で汚れちゃうことはあるかもしれないから、
前開きの汚れてもいい他の服探す?
そこまで考えたが探す気力はなかった、何より時間がなかった。

ピィポォオオピィポォオオ

早!!!!!めちゃ早!!!!!!

ドアチャイムが鳴る、本人確認の後に「お薬手帳あれば持ってきて」と言われ慌てて掴んで部屋を出てマンションの玄関に向かう。だって歩けるんだ……申し訳ない。

そこからがわりと長かった。
ともかく受け答えしながら「この質問はこういう意図だな」とここ数年で読んだ実務本の情報が頭の中でピチピチしていた。

知識が増えると世界の解像度が上がる

本当にその通りだ。
だけど自分が救急車に担ぎ込まれた状況では全然役に立たねぇわ!

そんなことを思いながらひたすら質問に答える。
省略するけど私の諸事情と病歴が救急隊員の「質問事項」を増やすはめになってしまって質問大会はけっこう長引いた。

搬送先も決まってようやく救急車が走り出す。
痛みのレベルは変わらず、ただ、部分的にビシッと痛むというのが左側に新規追加された。ほんとになんなんだよこの症状。

到着した病院に担ぎ込まれながら、その病院の設立経緯等が脳裏をめぐるけど、この状況ではやはりこれも全然役に立たない。

再び質問をたっぷり浴びせられ「この質問の目的はあれだな」と進研ゼミしながら過不足ないように努めて答える。だがやっぱりここでも知識は役に立たない
知ってはいる。
心エコーX線でまず一番やべぇ疾患の該当性を排除するんだ……

もちろん、この知識も役に立たない。

心エコー中に、部分的な痛みが何度も起きた
さすがは素人大林、このときあの本の「見開き左側中央」の情報を思い出せなかった。でも素人だから問題ない。
素人だからプローブのことをプルーブと覚え間違えてて「プルーブが痛ェ…」って思ってた。プルーブは証拠な!!!!!!

血を抜かれて検査結果待ち1時間弱と告げられ、両腕に色々くっついた状態で身動きも取れないままカーテン引かれた場所に移動されたので、答えがくるまで、痛みを紛らすためにも痛みの正体をもう一度検討することにした。

過去に読んだ本「診察エッセンシャルズ」を記憶の中で読み返す。


たしか「胸痛」の章がわりと後半にあった。

記憶の中でページをめくる。
あれでもないこれでもない。
私のこの症状はどれにも該当しない。
深夜就寝中に今まで経験のない突発的な痛みで目が覚めて、変化のない痛み持続我慢できる程度それ以外の自覚症状はまったくない
ほんとなんだこれ。

お手上げになって記憶の中でエッセンシャルズを放り投げる。

検査結果が出たということでドクターの説明が始まった。

「胸の痛みということで心配な心筋梗塞、大動脈解離、気胸の可能性はありませんでした。痛みの原因となるものは特に見当たりませんでした」

おぉそうか……それは仕方ない……だって我慢できる程度の痛みだもの……しかもそれ以外の自覚症状がないんだもの……答えは「なんかよくわからん痛み」ってやつか……あるある……

「考えられるとして……心エコーのときに胸骨に沿って痛みがあったので、帯状疱疹の可能性があります。数日内に皮膚症状が出たら、皮膚科を受診してください」

!!???!

瞬間、さっき記憶の中で放り投げた診察エッセンシャルズがむっくり起き上がり、めくっていなかった胸痛の最後のページを開く。

見開き左側中段!!!!!!!!!

衝撃を受けながらお会計へと向かう。
お会計「1万2XXX円です」

足りない!!!!!!!!!!!!!

お会計「クレジットカードでもいいですよ」

今日は持ってない!!!!!!!!!!!!!!

オチ!!!!!ひどい!!!!!!!!読んでおけばよかった!いや、無理!自分で胸骨とか肋骨とか触診しても自分で触ってるから正確に判断できないし!!!!!!

お会計「振込でも結構ですよ」

はい!!!!!!!すっげぇ出費!よく考えたら深夜だから帰りのタクシー深夜割増!!!!!!!!!ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ

というわけで今でも痛みは継続中です(ムラのある痛みにチェンジ)

これ最後まで読んだ人、いる?ありがとうございました!
帯状疱疹にならずに回復したい!!!!!!
原因不明の痛みのまま治って!

以上、T細胞と刑法愛好家が真夜中の胸痛にごちゃごちゃ考えたけど知識が何一つ役に立たなかった事例の紹介でした!!!!乙!!!!!!丙甲!

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ガチで見開き左中段で草。

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