1日20分の免疫学(29)リンパ球⑰
本「消化管のPeyer板や扁桃、粘膜固有層にはNK 様細胞が存在して、IL-22を産生する」
大林「ふーん。NK様細胞ということはNK細胞ぽいけどNK細胞ではないってことかな。IL-22の効果は?」
本「粘膜上皮細胞がつくる抗菌物質、IL-10、細胞増殖をもたらして粘膜の防御や炎症の制御にかかわるらしい」
大林「らしい、なんだ。NK細胞に似てる細胞だけど、細胞傷害よりも防御系だね」
本「胸腺由来のNK細胞はリンパ節に定着する性質がある」
大林「えっ胸腺由来??!NK細胞にも胸腺出身がいるの?!どういうこと??!!」
本「リンパ節以外の組織に在住するNKもいるよ」
大林「単なる組織在住的な意味???」
本「肝のNKのほとんどはリンパ球の30-40%を占める。肺では10-20%」
大林「へぇ」
本「CD56hiCCR7陽性をNK1細胞、CD56loCCR7陰性をNK2細胞と呼ぶこともある」
大林「新たな分類が!」
NK細胞表面のレセプターについて
大林「NK細胞を細胞傷害モードにするアクセル役のレセプターと、ブレーキ役のレセプターがあるんだよね」
本「そう。標的細胞上の物質と反応してNK細胞を活性化し、標的細胞傷害を誘導するNK 活性化レセプターと、NK細胞活性を抑えるNK 阻止レセプターがある。あわせてNKレセプターという」
大林「それは今までの本でも学習したよ」
本「NKレセプターは、大別するとレクチン様分子と免疫グロブリン類縁分子とに分けられる」
大林「へぇ~」
本「レクチン様分子には、NKR-P1やKLR(killer cell lectin-like receptor), NKG 2などが属している」
大林「NKG2はエッセンシャル免疫学でも読んだ!」
本「免疫グロブリン類縁分子には、KIR(killer cell immunoglobulin like receptor, CD 158), NCR(natural cytotoxicity receptor)などが属している」
大林「自主学習を始めた頃はKIRの読みがわからなかったんだよね……ケーアイアールなのかキールなのか…キアだったと知ったのは何年も経ってからだった」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mhc/24/2/24_123/_pdf
本「MHCクラスIを強く出している標的細胞は、NK細胞の作用をうけにくい」
大林「ブレーキのレセプターと反応するってことかな」
本「なので、腫瘍細胞やウイルス感染細胞、正常未熟造血細胞は、NK細胞によって傷害をうけやすい」
大林「おぉ?!未熟造血細胞もMHCクラスⅠが少なめなのか」
本「ヒトのMHCはHLAで、HLAクラスIにはHLA-A、B、Cなどの種類がある」
大林「ふむふむ」
本「それぞれNK細胞の個体ごとに異る多様性があり、NK阻止レセプター分子はそれぞれ特定のHLAクラスI分子と結合する。これにより、特定のHLAクラスI分子を持つ細胞は特定の阻止レセプターを持つNK細胞には殺されにくくなる」
大林「特定の、というのがミソだね。つまり、個々のNK細胞によって殺しやすい標的とそうでない標的がいるってわけだ。多数のNK細胞がいることで多様な標的細胞に対処できる」
本「1個のNK細胞は、1〜4種の阻止レセプターをもつ」
大林「種類の数も幅があるのか」
本「あと、NK細胞の多くはIgG分子のFc部に対するレセプターをもつ」
大林「Fcγレセプターだな!それで標的細胞に結合した抗体のFc部につかんで傷害する」
NK細胞を活性化するサイトカインについて
大林「IFN-γじゃないの?」
本「IL-2は、NK細胞を増殖させ、活性化する作用を持つ」
大林「そうか……NK細胞も増殖するんだ。なんか適応免疫の特権ぽいイメージになってたけど」
本「IFN-α、β、12,15,18もNK細胞を活性化する。IL-12,18によってNK細胞のIFN-γ産生と細胞傷害活性が増強される。未熟リンパ球がNK細胞に分化するにはIL-15が必要。IL-15は抗アポトーシス分子を増加させ、アポトーシス誘導分子を減少させる」
大林「つまりアポトーシス阻止、NK細胞をより生かすわけだな」
本「IL-27は、グランザイムとパーホリンを増加させて細胞傷害作用を増強する。Ⅰ型IFNは細胞傷害活性を高める」
大林「抑えるサイトカインは?」
本「TGF-βはIFN-γの発現を抑えてNK細胞の活性化を抑える。さっき話したIL-12と18はTGF-βレセプターⅡを低下させてTGF-β作用に拮抗する」
大林「ほぉ~」
短いけど今回はここまで!
体調管理のため睡眠時間最優先に生きてる……冬コミの準備がぁぁ