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1日20分の免疫学(19)リンパ球⑦

IL-2とLAK細胞について

本「IL-2はT細胞増殖因子と呼ばれた。T細胞が自身や仲間を増やす目的でつくる物質のようである」
大林「へぇ~かわいいねぇ。ん?呼ばれた?なんで過去形?」

本「IL-2をある種のリンパ球に作用させると数日で様々な種類の腫瘍細胞を破壊する能力を持つようになる。これをLAK細胞と呼ぶ」
大林「あぁ、T細胞増やす以外にも機能があるからってことで過去形ね」

本「IL-2というリンホカインによって活性化され細胞傷害するようになることからlymphokine activated killer : LAK。NK細胞よりもいろいろな腫瘍細胞を幅広く傷害できる」
大林「どんどんキャラが増える…NK細胞より有能ってこと?数はどれくらいなんだろう……」
本「がん患者の血液からリンパ球を採取してIL-2を作用させて培養し、LAK細胞を作って患者に注射して戻すというがんの治療法が行われている」
大林「色んな免疫療法があるんだよね、抗がん剤とかと併用で調整する…個人差もあるし、決してそれ単品で完全な治療法というものではないけど」

本「T細胞腫瘍細胞に反応してCTLを発現させる際につくられるIL-2は、周辺のリンパ球に作用してLAK細胞を作る。腫瘍細胞の破壊力を高めていると思われる」
大林「それはヘルパーT細胞が、抗原提示細胞によって提示された腫瘍細胞の一部に反応して活性化してサイトカインを産生してCD8T細胞(細胞傷害性T細胞)を活性化させる際に、LAK細胞も生まれるってことで、副産物的な感じかな?」
本「LAK細胞には、T細胞と同じCD3を持つものと、NK細胞と同じCD16を持つものとがある」
大林「どっちの系統もあるってわけだ」
本「いずれもCD56を表出しているものが多い。IFNγ、IL-7,12にもLAK細胞誘導効果がある」
大林「ほーん」

 ILCsについて

本「抗原レセプターを持たず自然免疫にかかわるリンパ球があり、まとめてILCs(innate lymphoid cells)と呼ぶ」
大林「きたー!自然リンパ球だ!あっ、末尾に小さいsつけるのか。ILCはNK細胞とは別なんだよね」
本「NK細胞と異なりIL-7レセプターを多くもち、CD49aもある。他方、NK細胞が発現しているEomes,CD16等はない」
大林「ほぉ」
本「natural helper cells(NH細胞)や,nuocytes, innate helper type 2 cells(Ih2細胞)などが存在し、B1細胞の補助蠕虫の防御、上皮の修復腸上皮幹細胞の維持、組織修復マクロファージの誘導にかかわると考えられている」
大林「NH細胞って名前は消えたんじゃなかったの?あとnuocytesって何?B1細胞を補助してるんだね!あと、大食細胞であるマクロファージが組織修復とは???」

nuocytes:ナチュラルヘルパー細胞を含む自然免疫型リンパ球様細胞の1つ。寄生虫の感染の際,腸管上皮細胞から産生されるIL-25やIL-33によって誘導され,また,これらに応答してTh2サイトカインを産生し,排虫除去にかかわる.(実験医学2012年4月号より)

KAKEN「マクロファージは,炎症・免疫反応を促進し,病原体の排除に重要な役割を果たしている.マクロファージは,炎症促進型と組織修復型に大別され,組織修復型マクロファージは病原体除去後の炎症収束と組織修復に関与すると考えられている」

↓↓炎症の回復期に出現し、組織修復を促す新しい免疫細胞を発見(東京薬科大)↓↓
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大林「へぇ~」
本「これらは自然ヘルパー細胞innate helper cells ともいうべきものである」大林「自然免疫を補助するリンパ球ってわけね」

本「転写因子T-betが関与してIFN-γを産生するものでNK細胞以外のものをILC1と呼ぶ」
大林「たしか、Th1細胞やTh2細胞に対応するようにILC1,ILC2があるんだよね」
本「ILC1は、マクロファージの活性化、細胞内寄生性細菌の防御Th1細胞CTLの活性化に関わる」
大林「適応免疫の細胞性免疫だね」

本「ILC2は、腸に集積する性質をもち、腸の粘液の分泌を高め、好酸球の活性化、蠕虫防御、B1細胞の抗体産生の補助、上皮の修復アレルギーの症状出現に関与する」
大林「ひとつバグが混ざってるけど……これは適応免疫のTh2細胞に繋がるね」

本「IL-17を産生するものはILC17、IL-22を産生するものはILC22と呼ぶことが提唱されたが……」
大林「ヘルパーはTh17とTh22だよね」
本「ILC17ILC22はどちらも分化にRORγtが関与しているのでILC3としてまとめられている」
大林「そこは揃えないのか」
本「ILC3は好中球の反応と上皮細胞の増殖、抗菌ペプチドの産生を誘導する」
大林「つまりは細菌の感染防防御か」

本「ILCは免疫応答の制御にも関っている」
大林「思ったより色々担ってるね。自然免疫を侮ってたよ」
本「ILCの免疫細胞のマーカーは見つかっておらず、分化状態には可塑性があり,樹状細胞などが産生する IL-12、IL-15、IL-18 でILC2、3はIFN-γを産生するようになる」
大林「T細胞にも可塑性があるってこの前言ってたけど、ILCもそうなのか」

リンパ組織について

本「リンパ球が集まり、ひとつの組織を形成しているものをリンパ組織という」
大林「あ、初めてリンパ組織の定義をきちんと知ったかも」
本「リンパ球の生成や分化に関係するものを中枢リンパ組織(1次リンパ組織)という。中枢から供給されたリンパ球が機能を果す場となっているものを末梢リンパ組織(2次リンパ組織)という」
大林「わかりやすい説明だ。中枢は骨髄と胸腺……」
本「それと胎児肝」
大林「末梢は、リンパ節と粘膜関連リンパ組織と…」
本「扁桃・脾などがある。粘膜リンパ組織一部のT細胞の分化の場であり、中枢リンパ組織でもある
大林「それそれ!!!それを詳しく知りたいんですよぉ~!」

短いけど今回はここまで!細胞擬人化4コマ作成も再開しています。Twitter(X)で投稿した分はのちほどサイトにも展示します。

先週と今週の4コマはこちら

細胞擬人化漫画「赤血球は群れない」
細胞擬人化漫画「核なし仲間」

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