1日10分の免疫学(6)自然免疫の後半
第3章 自然免疫:感染に対する誘導応答
本「病原体に対して、ヒトの体は連続的な防御体制を敷いている」
大林「まずは上皮細胞という物理的バリア、これが突破されて軟部組織に到達すると自然免疫が即時応答する」
本「第3章では、その次の防御体制について説明します」
大林「獲得免疫?!」
本「いいえ、自然免疫の後期です。この防御体制は、命令を受けてから成立し、任務につくまで約4日かかり、多くの物資と時間を必要とする…」
大林「まるで獲得免疫みたいな説明だけど?」
本「獲得免疫はさらに多くの物資と時間を必要とします」
本「免疫応答は、即時型自然免疫応答、誘導型自然免疫応答、適応免疫応答の3つの段階から成る」
大林「オオオオ、自然免疫が2段階に分かれるの初めて知った!」
本「即時型自然免疫応答は0~4時間、誘導型自然免疫応答は4時間~4日、適応免疫応答は4日目以降病原体が死ぬか宿主が死ぬか慢性化して休戦状態になるまで」
大林「さらっと怖いこと言ったな」
本「自然免疫系は、多様な微生物に対処するため多数の受容体群を発達させてきました。微生物由来の糖鎖・脂質・タンパク質・核酸を哺乳動物由来のものか否かを区別し、これにより自己非自己だけでなく、健常な細胞と健常でない細胞とを区別することができる」
大林「それで、後期の自然免疫ってどこからなんです?」
本「病原体が組織に侵入し、その組織の定在マクロファージが受容体で病原体を感知し、活性化。エフェクター細胞が組織に動員されるとこから」
本「サイトカインは小さい可溶性タンパク質で細胞間の情報伝達手段として使われる」
大林「受容体で受け取るんだよね」
本「サイトカインは受容体との結合で細胞内シグナルを誘導し、細胞の行動を変化させる」
大林「えろい」
本「サイトカイン産生細胞が別の細胞と直接接触して作用することもある」
大林「知ってる!Tregが他の免疫細胞止めるとき直接セッ…するって!」
本「……免疫応答は組織の傷害を必ず伴うため、サイトカインは短命の分子であり、その作用は必要の場所に限局されている」
大林「届く範囲が限られてるから、安全ってやつか」
本「常在マクロファージは感染を見つけると活性化してサイトカインを分泌し他の細胞を呼び寄せる」
大林「ということは、もしや好中球は自然免疫の後期に登場するってことか!なんか初期の初期って思ってた!」
本「炎症性サイトカインの主な仕事は、感染組織への好中球の進入制限を解除すること」
大林「炎症性サイトカインのイメージが変わったな……まぁ、好中球を呼び込むことでそこが炎症するといえばそうか」
本「好中球と比べると数は少ないが、単球(マクロファージ前駆細胞)とNK細胞も感染組織へ動員される。炎症が進むとマクロファージの重要な役割は死んだ好中球を貪食することになる」
大林「好中球は数が多いもんなぁ…」
※今回はこの辺で!