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1日20分の免疫学(21)リンパ球⑨

本「M細胞高分子の物質でも通過させやすく、腸管内の抗原物質はM細胞を経由して腸管壁内に入り、樹状細胞やマクロファージがT細胞に提示したり、直接リンパ球が反応したりする」
大林「それはばっちり学習済」

本「小さな可溶性の抗原は、吸収上皮細胞杯細胞の中や間を通って侵入してくる。樹状細胞やマクロファージは上皮細胞の間から突起を伸ばして腸管内腔の抗原を捕える」
大林「みんな熱心に敵情報を集めてるんだね」

本「でもこれらの細胞には移動性がないので、捕えた抗原は移動性のあるCD103陽性樹状細胞に転送される」
大林「転送とは?」
本は答えない!

本「杯細胞もCD103 樹状細胞へ抗原を送る」
大林「CD103 樹状細胞って運び屋なのかな?」

本「CD103 樹状細胞は、傍濾胞域に移行してT細胞に抗原提示する。CXCR5を表出した樹状細胞はリンパ濾胞に移行してTFH細胞に抗原提示する」
大林「CD103のとCXCR5のとは別?同じ?ちょっと待って、樹状細胞が色々過ぎる!」

本「Peyer板では、粘膜固有層にいる樹状細胞が抗原を捕らえたり、抗原がそのままリンパを流れて腸間膜リンパ節に届いたりする」
大林「そしてそのリンパ節にいるB細胞とT細胞が反応するわけね」

本「IgAにクラススイッチしたB細胞は、粘膜固有層や唾液腺などに移行してIgA抗体を産生し、抗体は上皮細胞中を通過して腸管内に分泌され、局所免疫に役立つ」
大林「局所につきささるぅ!」


本「腸管内の抗体は主にIgA。IgAへのスイッチはPeyer板、腸間膜リンパ節、粘膜固有層で起きる」
大林「ふむふむ」

本「抗原と反応した T 細胞やIgAにクラススイッチした B 細胞の一部は、リンパから血流に入って全身を循環するが、粘膜組織に定着する傾向がある」
大林「かわいい」

本「粘膜固有層にいるT細胞の多くはメモリー細胞
大林「B細胞は?」
本「B細胞はパイエル板で抗体産生するよりも、血中に入って腸管粘膜固有層や唾液腺、乳腺等で抗体産生する」
大林「へぇ〜そこにいたい理由があるのかな。接着分子とか」

本「そこにあるBAFF,APRILB細胞の生存を維持する」
web「B細胞活性化因子(BAFF)は、TNFファミリーに属し、末梢B細胞の生存に重要な役割を担う。 主に好中球、単球、マクロファージ、樹状細胞、濾胞樹状細胞のような自然免疫細胞によって産生される」


大林「生存維持されるならそこで抗体産生するね」

本「一層の腸上皮細胞間には上皮細胞10個に約1個のリンパ球が存在する」
大林「それは多いの?少ないの?」
本「多いよ。腸管上皮内リンパ球というintestinal intraepithelial lymphocyte:iIEL
大林「何度か見た名前だ。なんなの?」
本「ほとんどがT細胞。通常のCD4やCD8のαβT細胞や、CD8ααT 細胞、CD4CD8ααT 細胞、γδT細胞、RORγtリンパ球など」
大林「覚えきれない…」
本「活性化状態で、細胞傷害活性があり、IL-2,IL-4,IL-17,IFN-γなどを産生し第一線の感染防御にかかわり、TGF-β産生によるIgAへのクラススイッチ誘導や、 IL-10産生による免疫反応抑制、上皮細胞増殖因子KGF産生による上皮の成育支持をすると考えられている」
大林「有能集団だな」

本「TCRにはαβ型とγδ型があり、ヒトではγδ型は10-20%」
大林「αβ型の方が多数派なんだよね」
本「γδ型は、腸管で分化するもの(胸腺非依存性)や、胸腺由来だが通常の分化をしなかったもの(b型、natural iIEL)と胸腺で分化したもの(a型、induced iIEL)とがある」
大林「頭が追いつかない…」
本「上皮細胞に接着していて再循環はしない
大林「そこに定住ってことか」

本「腸粘膜の陰窩部 cryptに約1,000のリンパ球集団が存在し、クリプトパッチ crypt patchと呼ばれる」
大林「出た!クリプトパッチ!詳しく教えて!」
本「ヒトでは確認されていないよ」
大林「マジか!漫画のプロット修正しなきゃ…」

本「気道上皮部のT細胞はCD8が多い。粘膜固有層のT細胞はCD4が多い。粘膜固有層にはB細胞やマスト細胞などもいる」
大林「CD8が多いのは、気道上皮部で感染細胞をばんばん排除するためかな?」

本「肺胞では上皮の表面や実質内にマクロファージ・樹状細胞・B細胞・マスト細胞がいる」
大林「呼吸したら色んな物質が入ってくるもんな。防衛しなきゃ!」
本「でも呼吸でアレルギー誘導すると危険なのでT細胞・B細胞はアネルギー(不応状態)にあるものが多い」
大林「え、それならそもそもそこにいる意味なくない?いざというときに備えて…って感じかな」
本「肺間質マクロファージは異物消化とプロスタグランジンE2や酸化窒素産生により抗原提示細胞(樹状細胞)を抑制している」
大林「なるほど、抗原提示が抑えられたらT細胞も反応できないな」
本「マクロファージもCD200レセプターを表出し、上皮細胞表面のCD200によって炎症惹起作用を抑制されている」
大林「マクロファージは異物を食べて、他の免疫細胞抑制だけしてろってか」

本「IL-10やTGF-βを産生する T細胞やCD4CD25Foxp3レギュラトリーT細胞が集まり、吸入トレランスinhalation tolerance(特定の吸入抗原に対するT細胞の不応性の誘導)にかかわっている」
大林「すごい、外界最前線だから誤作動起こさないように万全を期している…!」

短いけど今回はここまで!

オリジナルサイトのBeing最新話作成も再開しています。

https://pelagus.sub.jp/actiolic/


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