Four Pillars Distillery見学レポ
マガジン3つに入らない記事もたまには書きたいな、と思いながら時は過ぎてやっとこさマガジン外記事を書こうと思ったらまーーたお酒の話をする流れとなりました。
以前はPort MelbourneにあるStarward Whiskyの蒸留所の見学&テイスティングレポを2つほど書きましたが今回はジンで有名なFour Pillars Distilleryを見学しにHealesvilleまで行ってきました。
Healesvilleというとメルボルンから東に1時間ちょいの電車のネットワーク外にある場所で、Healesville Sanctuaryという動物保護区が長らく一番有名な場所です。家族と一緒で車があるタイミングで近くにあるYarra Valleyのワイナリーと合わせて行くところ、みたいに認識していたのですが実は途中まで電車でいけばバスがそれなりの数出ているのを最近知りました。
今回はLilydaleまで電車→685番のバス(動物保護区までいくそうです)のルート。このバスは夜9時過ぎまで通ってるようですね。
車で行くのと比べるとだいぶ時間はかかるので日帰りだと現地での時間はたくさんはとれませんが、メルボルンの公共交通機関のシステム上自宅からメルボルン市街地に行くのと同じ運賃でHealesvilleまで行けるというのも地味にお得なポイントです。
Four Pillarsはオーストラリアでジンがブームになり始めた頃から有名な蒸留所でメルボルンではバーにも普通に置いてあるところ多いですし酒屋でも空港でも定番です(メルボルン空港ではテイスティング含めかなりスペースを割いてたり)。
シドニーのSurry Hillsにも支店のようなバーがあるそうですがあくまでもこちらのHealesvilleが「ホーム」との話でした。
そのホームには入り口から入って右手に蒸留所の建物、そして左には最近建てられたバー施設があります。売店は両側にありました(ラインアップはだいたい同じ)。
今回体験したのは「Distillery Tour」=蒸留所見学+テイスティングの$30コースでした。(1回につき定員10名、あと見学後レギュラーサイズのボトルのジンを売店で買うと$10ドル引きになるそうです)
もちろんジンの蒸留所ということでアルコールを扱う施設ですが、前述の通り動物保護区が有名な土地柄もあって家族連れで見学にくることを見越して子供の見学料金($10、大人同伴必須)・テイスティングの代わりのソフトドリンクサービスもあります。実際今回の見学でもバーにも夏休みの家族連れがいました。
他にもジントニックに特化したテイスティング、カクテルワークショップなど色々イベント(そしてイベントによるショップ割引)あります。詳しくは公式サイトのイベントページに。
蒸留所の見学ではジンを製造する過程や機器の説明、主にスタンダードなジンであるRare Dry Ginを題材にボタニカルや材料についての説明などもありました。蒸留器は4つあり(全部名前がついている)ドイツ製でもう11年使われているそうです。
プロセス自体は以前見学したウィスキーと大きくは変わらないのですが環境気温を調整しないこと(液体の温度はもちろん調整します)、ボタニカルをはじめとした植物系材料の使用、そしてそれにより排水がものすごく良い匂いがすることが大きな差でした。
(ちなみにウィスキーのように樽の中で熟成するタイプのジンもありますがそれもあえて環境を調整せず寝かせているとのこと)
一緒に見学した家族連れの子供達の鼻にはボタニカルの匂いはちょっと強いようでその反応も面白かったですが逆に蒸留所のスタッフはずっとその匂いに曝されているので鼻がすっかり慣れてしまっているそうです。ちなみに排水は玄関近くの地面の下を通るので見学しなくてもある程度体験できます。
Rare Dry Ginでは10種類のボタニカルを使うそうですがオーストラリアの植物で何をどう使うとか、似たような香りの材料でこれでなくそれを使うのはなぜか、とか香りや味とは別の機能のために入れる材料がある、とか奥が深い。ボタニカルはジンの魂でありそれぞれのジンのアイデンティティを形成する大事な材料なのでそこら辺の話を聞くのは面白いですね。ついでにジンを作るのに使った後のオレンジを使ったマーマレードもいつか購入したいです。
ボトル詰めのラインはバーがある建物から見学できるのですが新年になったばかりだからかこの日は動いていませんでした。いかにも工場っぽいプロセスなので是非見たかったのですが残念。
ここの蒸留所はボトル詰めにジンが流れるラインの他にバーで使う用にもジンのラインを引いています。いわゆる「生ジン」(gin on tap)。
同じ蒸留所でジンを作っているのにバーでジンを出すのに瓶を開けていると二度手間でガラスのごみも生じる、ということでこういうシステムにしたそうです。
ガラスのごみを減らす試みとしては他にFour Pillarsの空になった700mLジンボトルをここの蒸留所に持ってくるとBloody Shiraz GinあるいはRare Dry Ginを詰め直してくれるサービスがあるそうです(ここ参照)。
それとはまた別に蒸留所の花瓶はジンのボトルをちょっとひねったやり方で再利用したものになってました。
他にもバーの入り口の主要商品のアーカイブ、ジンやジンを作る過程の材料で出来た食品などを売ってる売店、それからクリスマスジンの2024年版のラベルに載っているかぎ編みのクリスマスごちそうの実物も見ました。
テイスティングは見学に込みでしたが内容はメニューのPaddle18ドルコースと同じだそう。デフォルトはトニックウォーター(Fever TreeのMediterraneanがおすすめだそうです)ですがオプションでソーダなどにも変えられるそうです。(子供にはソフトドリンクのサービスあり)
基本のRare Dry Gin、カクテル向きの強めのNavy Strength、Bloody Shiraz、そして2024年版クリスマスジンをトニックウォーターでいただきました。味ももちろんですが飲み方のヒントもあるのが蒸留所飲みのいいところ。クリスマスジンはストレートでよかったかも。Navy Strengthは生のショウガが入ってたのが良かったです。
StarwardのウィスキーもFour Pillarsのジンも常時とはいかなくともレギュラーで購入しつづける予定なので日帰りで見学などのコース+食べ飲みに蒸留所に行って直接購入してくる、を定期的にできたらなあと思い始めています。
Healesvilleは周辺に(Yarra Valleyまで行かなくとも)ワイナリーがあったり、チーズやスパイスの店もあったり実はちょっとしたグルメショッピングの街。さらにさらに普段私がハチミツを購入しているBeechworth Honeyが
Healesvilleに支店を出す準備をしていたので開店したらこちらも買いに来たいです。