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メルボルン・ヴィクトリー2022/23シーズンプレビュー

さて、Aリーグ男子のプレビューと女子のプレビューの間に私が応援しているチーム、メルボルン・ヴィクトリーの今期の展望を。
メルボルン・ヴィクトリーには男子チーム、女子チーム、ユースチーム、そしてAWT(Afghanistan (National) Women's Team)がありますが主に男子・女子のトップチームのプレビュー、そして後者2チームについてもちょっとだけ触れる予定です。
書き始めてからちょっと時間が経ってしまいましたが修正ミニマムでお届け。

前期達成したこと、教訓と今期に向けての取り組み

2021/22シーズンの成績でいうと男子は2位フィニッシュ+FFAカップ優勝、ファイナルトーナメントは準決勝敗退、その前の最下位だったシーズンから大きな飛躍で有るべきところに返り咲いた年でした。それから連続15試合無敗のクラブ記録、シーズン中の失点が25失点で最少(そして前半にほとんど失点しない)というのも特にこのシーズンを特徴付けた数字でした。
女子チームは4位フィニッシュ、最終的に得失点差でギリギリファイナルシリーズに進出してから蘇ったかのような快進撃でChampionに。順位表だけ見るとぱっとしませんが実はセンターバックに本職の選手が2人揃っている試合に限っては無敗・ほぼ失点なしというデータもあります。

そんな状況でヴィクトリーが2022/23シーズンにクラブとして掲げるスローガンがこちら。

男子も女子もチームの底力をこれでもかという程感じるシーズンでしたが同時にそれでも届かないもの、足りないものを痛感するシーズンでもあり。
獲得できなかったタイトルが、もそうですがそれに至った敗戦の色々の悔しさも色濃く。
さらに男子+女子の結果を合計したClub Championshipの前期の最終結果を見ると「塵も積もれば山となる」を痛感します。

なので今期は男子はリーグでのタイトル(特にPopovic監督がまだAリーグで獲ってないChampionship)、女子はChampion防衛+Premier(1位フィニッシュ)の二冠を狙い、その過程としてより多くの試合に勝ちより多く得点しより失点を減らし(女子はもちろんですが男子も最少をさらに減らすってPopovicさんが言ってるらしい)、ということがこのスローガンがまずピッチ内で意味すること。

補強もその方針を強く反映していて、まずは女子チームの今季の補強のディフェンダー、特にDFでも複数ポジションできる選手、それからDFも兼任できる選手の多さに選手層の厚さに関する力の入れようが見られます。もう誰が抜けても、複数人抜けても大丈夫。のはず。あとはオフシーズンに抜けた中盤・攻撃の選手をいかに補完するか。前期怪我だった選手が戻ってくるのもそれだけで大きな補強とはいえますが。

男子の場合は得点やそのチャンスを増やしたり某緑のチームの様な強固な守備をこじ開けるという意図がNaniさんの参入やプレシーズンの試合(マンチェスター・ユナイテッド相手に決めたゴールや下部リーグのチーム相手の試合でのアプローチなど)にちょこちょこ表れている気が。カウンタープレスとかにポジティブ方向のトランジションとかで前期とちょっと違う印象があります。ただPopovicさんが監督だと前掛かりになっても守備に手を抜くなんてありえないと思ってるはずなので果たして両立・バランスはどうなるか。

リーグ環境としては男子も女子もどこのクラブも前期より大きい補強をしている傾向にはあるので「前期よりさらに」を簡単に成し遂げることができるとは思いませんが前から積み上げたもの、そして新しい選手の力を合わせれば少なくとも今の時点ではどちらも優勝候補には入ってくるはず。
何よりこの2つのチームにある理不尽さをもっと今期は感じたい。

今期注目の選手

前からヴィクトリーに所属している選手だとJake BrimmerとMelina Ayres。Brimmer君は前期Aリーグ男子の最優秀選手賞Johnny Warren Medalを24歳の若さで受賞、そしてウェスタン・ユナイテッドの強固な守備を破るゴラッソを何度も繰り出しています。ただこれからまだまだ伸びる。今期はゴール・アシストの数字(前期:7G7A)をさらに伸ばすためボックスの中での動きについて言われている様子。ただゴールの種類で言うなら私はフリーキックやミドルシュートがもっとたくさん見たい。でもそれ以外の貢献にも目が離せない選手です。
Melinaはそもそもヴィクトリー女子がファイナルトーナメントを勝ち上がることができた大きな要因だと思います(逆にあれだけのストライカーを欠いてよく4位でフィニッシュできたというか)。ファイナルのプレーだけ見ても長引く怪我さえなかったらきっと飛躍の年になっていたはず、というのは想像に難くないので今期はそれを現実に見るのが女子チームの一番の楽しみ。特にPremiershipを獲得するには超重要な選手です。

新しく加入した選手はまず男子でCadete(Kike Lopez)。昨シーズンのJason & Jasonが不動の最強サイドバックコンビだと思っている私でさえも期待してる左SBです。そもそもサイドバックの評価は個人の好みが大きいと思ってるので実際リーグが始まって多くの目に触れると評価が分かれたりするのかもしれませんが今期の攻撃的フォーカスではキーになりそう。下位リーグ相手の試合も多いとはいえかなりアシストで貢献してるはず。
女子はまだ補強の途中で前みたいに遅れて大物が来たりするケースもありそうですがとりあえずBeattie Goadが目玉かな。守備もできるけど中盤もできて、現時点のチームの揃いようだと中盤の方が需要がありそう。代表でちょっとだけ見ただけなのでヴィクトリーのシステムにどうはまるか見るのが楽しみ。

期待の若手はWill WilsonとAlana Murphy。Alanaは前シーズンも散々話しましたがこのクラブでAリーグ女子デビューシーズンとしてはかなり多めに出場して頼もしい働きをしてました。相変わらず中盤は層が厚くなりそうですがきっと今期も然るべき時に然るべき役割をこなしてくれるはず。後でちょっと書きますがアカデミーから新しく加入したMFの選手たちにも頼もしい先輩になると思います。
そして髪型が特徴的なWillはプレシーズンの練習試合で何度かスタメン出場、その何試合かでNaniさんと一緒にプレーする機会があって割と相性が良いように見える部分もありその働きにちょっとわくわくしてます。去年のカップ戦で披露したアウトサイドシュートをもう一度、ももちろんですがBrimmer君とはちょっと違う「10番」として味が出せたらいいな。

男子・女子それぞれのチームに違いをもたらすビッグな選手でいえばNani、Kayla Morrisonの2人。
Naniさんの経歴はもうここで書く必要がないほどのスーパースターですがすでにそのクオリティの片鱗を見せ(カップ戦でも緑の要塞をこじ開けかけてました)、プレシーズンでもより自由で選択肢を広げる攻撃に貢献。
Kaylaは純粋に守備の要という部分以上で去年のシーズンアウトが悔やまれました。リーダーシップというか存在感というか勝者のメンタリティというかアグレッシブさもある態度というか、チームが弱気になることさえも阻止する大黒柱。男子・女子チームが結構仲良くやってることを外の人間としてちゃんと感じられるのもKaylaの話や言動が主だったり。
2人ともピッチ内外で存在感を示してくれることに期待大です。

その他

一つ言及しておきたいのはヴィクトリーは男子も女子も得点する選手がだいぶばらけるということ。PKもフォワードじゃない選手が蹴る確率が多いですし。なのでリーグの得点王とかは今期もなさそう。男子のプレシーズンで練習してたいくつかの攻撃の形でもMFやディフェンダーが点とるパターンがいくつかあったのでむしろ見てる側としては誰がどうゴールを決めるかのバラエティを楽しみたいです。

あとヴィクトリーはピッチ外でのことも今期に向けてより力を入れているようで、2月のPride CupだったりLocal Brewing Co.とのコラボレーション(商品+アウェー観戦ロケーション提供+チャリティ寄付)だったりフットボールそのもの以外でもクラブとしてさらに成長・充実するための活動を進めています。きっとシーズンを通してまだ色々やるつもりではいると思うのでNaniさんがクラブやリーグにもたらすものと合わせて注目・応援したい。

そして否応なしに注目してしまうのが今期のアウェーユニフォーム。初期にあった蛍光イエローの復刻ユニです。
ファン投票の結果選ばれて選手(特に昔からヴィクトリーを知る選手たち)にも人気があるユニフォームですが、今シーズン特に女子に早い時間の試合が増えるためラリアの夏の日差しの下、オープンなスタジアムやグラウンドで相手の選手が眩しくないかなと心配?になったり。

ユースチームとAWT

前期のヴィクトリーユースチームはNPL3からNPL2への昇格プレーオフまでなんとか進出したもののその試合で負けて今期もNPL3に。良い試合は良かったけどなかなか安定しないシーズンでした。メルボルンの他のAリーグチームのユースが昇格できたこともあり残念です。でもこの年代はここ数年のトップチームの不調を含めた状況の影響が少なからずあったと思われるしまだ新しい体制で始めたばっかり、下の年代であるU21の成績はすこぶる良かったのでこれからなんとか悲願の昇格に向けてがんばりたいところ。プレシーズンでトップチームの練習試合に出て活躍してる選手もいましたしなるべく前向きに見守りたいです。それ以前にNPLが始まるまでのユースリーグの扱いとかも含めどうなるかな。

女子はユースチームは(多分「まだ」)ないのですがアカデミーからトップチームにMF2人、DF1人が登録されました。前述の通りすでに新しい加入で層が厚いエリアではありますがAリーグの試合では見れるかな?

そして最後になりましたがAfghanistan Women's Team。彼女たちも(State Leagueのシステムには明るくないのですが昇格したという話がないのでおそらく)前期と同じくState League 4 Westでプレーすることになるようです。こちらも昇格を目指してということになりそうですがその間にトップチームで練習する選手もいたり、とかいう話もあるので続報に期待。
リーグ・クラブでの個人賞受賞もあったそうです。

男子・女子のトップチームと同じくユース・AWTもまたそれぞれのリーグで優勝候補として前期逃したタイトル獲得を狙います。
そんなメルボルン・ヴィクトリー、できれば男子のトップチーム以外にも注目してもらいたいなと今期も改めてお願いします。
(男子・女子トップチームの選手が揃ったら名鑑もやる予定です)