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なぜこの仕事をするようになったか〜今でも泣ける言葉
甘くはなかった能力開発の仕事
こんなふうに入社後3か月店舗で積み重ねた努力を認めてもらって能力開発マネージャーという仕事を与えられたのですが、事はそうスムーズには進みませんでした。
当時中途採用者が採用してもしても辞めてしまう、という課題を抱えていた会社は、全面的に人事制度や組織の教育体制を変更しようとしており、その任務を私が担当することになったのです。
それまでは営業の部署の中に「教育訓練」の責任者がいました。
「教育」は、現場の販売接客スキルや接遇のスキル、商品知識、VMD(ヴィジュアルマーチャンダイジング)といったスキル、専門知識のレベルアップの内容を行っていたのですが、
「それだけでは店舗をマネジメントしていけない、部下を育てていけない」ということになり、店長のマネジメント研修や、エリアマネージャーの研修なども含む、全社の能力開発の体系を作ることになったのです。
それをアパレル会社の店長経験がまだない私が一手に引き受けるって、考えてみるとずいぶん無謀なことを会社もやらせたものです。
それぐらい人がいなかったわけですね。
周りからの冷ややかな目
私が入社3か月でその辞令をもらったことで、同期ぐらいで入社した私よりもアパレル経験が豊富な人たちや、既存の社員の人たちがムカついていたことは想像に難くないことでした。
自分が取り組めることにフォーカスするように努めていましたが、その雰囲気は私のもとにも伝わってきました。
特に、私の前任で営業本部で教育訓練に携わっていたバリバリのアパレルたたき上げの部長さん(私より10個ぐらい年上の女性)が、
「この業界未経験のこの子にできんの???」と思っていることが態度にありありと出ていました。
引継ぎ必要なことは伝えてくれましたし、自分も新しく新店開発の重要なポストに移行しないといけなかったので、それはそれは忙しい中時間は割いてくれましたが、相当複雑な心境だったと思います。
涙が出るほどうれしかった言葉
今まで行っていた導入研修やパートタイマーさんへの接遇研修、新しく始まった店長研修の内容を運営しながら必死に取り込む日々が続き、3か月ほどたったとき、さすがの私もその部長さんに弱音を吐きました。
一緒にご飯を食べに行ったときです。
「店長の実績もない私がこのポジションにつくのは早いと思うんですよね。もう少し経験を積んでからのほうがよかったんじゃないかと思って…」と私が言うと、その部長さんは私に向き合って伝えてくれました。
「でもね、私は、あなたが来てくれて、本当によかったと思ってるのよ。」
思いもかけない言葉でした。いつも厳しくて、そんなことを言ってくれたことは一度もなかった彼女の言葉を聞いて、本当に涙が出るほどうれしかったことを今でも憶えています。
能力やスキル、行ったことなどをほめてもらうことよりも、
自分の存在そのものを認めてもらったとき、「自分は必要とされている人間なんだ、役に立っているんだ」と思えた時、人は本当に幸せを実感するのだな、と当時を思い出します。
この言葉をもらえたことで、私は何とか踏ん張り、引き続き努力を続けることができました。